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2006-08-30子猫をぶんなげない

心の旅2

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そのまま、消えてしまいそうな萌仙人に僕は慌てて、叫ぶ。

「わ、わかりません」

プライドも全てかなぐり捨てて、僕は大地に伏して、頼んだ。

「私は、萌を描いてみたいのです」

サワサワと、竹林が揺れる。見上げると、水晶の眼には、少しだけ、感情が浮かんでいた。

寂しさ? 悲しさ? 

「人が、萌えを知って、数十年…。ほんに、小さいのう。わしらは」

「…」

「だがな、わしらが知る前から、萌とはあったのぢゃ」

「そ、そうなのですか!」

そうなのか? 萌えとは人間の作り出した概念ではないのか。

「大地は、草花は、獣たちは、萌を知っていた」

人間だけが知らなかった?」

僕は、足元の名も無い草を見た。この草も萌を知っている。

僕は、当りを見回した。サワサワと揺れるこの竹林も知っているのか。


「後は、その虎に聞け」

いつのまにか、僕の隣に、虎がいた。即座に身体が硬直した。

3メートルはあるだろう。その大きさと、醸し出す野生の雰囲気に圧倒され、僕は死を意識し、死に呑み込まれた。

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2006-08-28いつからか、僕はフタについたヨーグルトを食べなくなった

い能力部2

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「ねえ!見てて!」

今日の笹木はやたらテンションが高い。

目を瞑り、ブツブツと何か呟いている。聞き覚えのあるそれは、般若心経

「…何で?」

「かんじーざいぼーさーはんにゃー…」

目を瞑り懸命な姿は可愛いのだが、お経が怖い。

呪われているような気がする。

「はんにゃー、しんぎょー…」

お経が終わり、笹木はゆっくりと目を開けた。

そして、僕は驚愕する。

「これはッ!」

「どう?」

笹木のメガネには最近発見した『急にレンズが曇る』能力が発現している。しかし、その曇りが文字になっていた。

右に「豚」、左に「虫」。

「…何で?」

「ね! 凄いでしょう!」


笹木は嬉しそうに続ける。

「『温度の固定』ってのは、結局、熱量の移動なのよ。だから、レンズ周辺の熱量を奪って、曇らせることもできるってわけ」

「へー…、でも何で般若心経?」

「さあ? 唱えてたら偶然できたの。精神集中の仕方に関係があると思うんだけどね」

笹木は奥が深い。何でお経を唱えてたんだろう。あまり奥深くいくと帰れなくなりそうで、考えない。


「これで今年の文化祭発表は決まったわね。ふふ、皆驚くわよ」

「え、文化祭でやるの、それ」

「うん。部費のアップも望めるかも」

「それ、やめよう。いや、やってもいいけど、どうだろう。ほら、『私達の能力には先がある』ってやつだよ。うん。僕達はもっと先を見るべきだと思う」

「そうかな」

「そうだよ!」

「うーん。そうかもね。『満足したら人は死ぬんだ』って、お爺ちゃんも言ってた」

多少不自然だったが、どうやら方向をそらせたようだ。

メガネに『豚虫』などと浮き出た笹木は誰にも見せたくない。見せるべきではない。


「はんにゃー、しんぎょー…」

そして、二回目の読経が終わる。今度は、振り仮名がついてた。

『とんちゅう』。

だから、何なんだよ! 

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2006-08-27光の中に飛び込んで

第三回萌理賞

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http://d.hatena.ne.jp/ama2/20060827

期待賞なるものを頂きました。やった!


でも講評で言われたとおり、まだまだ工夫すべき作であるなあと見返して思いました。ベタな設定ととってつけたような最後は、もっと羞恥心を持てよと思いました。400字制限の文字数を合わせるために、文章を削る方向にばかり目がいった結果ですね。無駄な文章を省くのでなくて、無駄な文章がないように構成する必要があったのでした。

でも24時間で20人の枠がうまってたので、出しといてよかったかもしれないなあ。



個人的に、面白かったのは次の作品。

  • id:jundasさん『それはちょっと違うと思う』
  • id:hanhansさん『無題』
    • 「気が付いたら磔だった」「真夏のあばんちゅ~るは?」の流れは凄い楽しい。最後、ちょっとだけ生きてる後輩と、それを料理失敗してフライパンを焦がしたみたいに眺める先輩の姿は萌えだろうなと思った。

い能力部

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部員は僕と笹木の二人だけ。



「私たちは、選ばれた人間なのよ!」

笹木はメガネに手を添えながらいつも宣言する。

笹木の『メガネが曇らない』能力は、寒い所から暖かい所に入ってきてもメガネが全く曇らないという能力である。



「これはつまり『温度の固定』ってことよね。レンズを絶温してるってこと」

それでも笹木は前向きだ。二人だけのこの部が今在るのも委員長を地でこなす彼女のおかげである。



「私たちの能力にはきっと先がある。大事なのはルールと仕組みを理解すること」

僕の『テレビのリモコンを見つける』能力も、僕自身には便利なのかよくわからないのだが、笹木は褒めてくれる。

笹木はいつも真剣なのである。



委員長、新しい能力が見つかったみたいなんだけど」

「ホ、ホント!」

「ちょっと、もっとこっちきて」

「うん、うん」

「あのさ、前から思ってたんだけど」

笹木の真剣な目を見る。

「やっぱり、すっげー可愛い」

笹木の顔が文字通り真っ赤になった。

「どうだろう、この能力」

今度はメガネまで曇った。おお、新能力だぞ、笹木。






蛇足ですが。

この話の背景設定は、ある町に隕石が落ちてきて、その後何人かの人たちが能力に目覚め始めるのだけど、でもその能力が余りにくだらなくて、結局日常は変化しないというやつです。ジョジョやら幽遊白書イメージですな。


で、なんらかの事件があって、その事件で能力者たちのいらない能力が、局所的に役にたって事件が解決していくパズルみたいな話にならないかなと思ってましたが、特に後は思いつかなくて、倉庫に放ってました。今から思えば、ヨーロッパ企画脚本みたいなイメージだったのかな。


あと講評でもありましたが、いらない能力が、原理を応用するとかで、凄い能力になったりするのって、なんか燃えるじゃないですか。委員長が言ってるのはそういうことです。

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2006-08-25夏が終わる

萌理賞第三回目。

萌も小説もわからない。

勢いでやってしまった。

http://q.hatena.ne.jp/1156507229

心の旅1

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萌えとは何だろうか。

無邪気な子供のように、萌えを描こうとしてた僕は、ここにきて、萌がわからなくなっていた。

僕は何に萌え、そしてそれを描くとはどういうことか。


考えるうちに、いつの間にか僕は霧深い山の中にいた。

そして、萌仙人と出会った。


「あ、あなたはもしや萌仙人さまですか」

Yes.I am」チッチッチというジェスチャーをした後、

仙人は厳かに、

「いかにも、わしが萌仙人ぢゃ」

と言った。


「も、萌仙人さまッ! どうか、私に萌を教えてくださいッ!


仙人は、その水晶のような眼でじっと僕を見た。僕は酷く狼狽した。その眼からは何一つ読み取れなかったからだ。


萌えとは」

ごくり、と僕は唾を飲み込んだ。


「どこにもあって、どこにもないもの


風が吹いた。竹林がサワサワと揺れる。

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2006-08-23憎しみで人が愛せたら

眠らない漫才師

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『どーも! ナイツでーす』
「いやー。いきなりやけどね。オレ、眠いわ」
「ええー…!、がんばろーやー。てか、はよ、寝ろ!」

ナイツは、山田ミッドナイトと、木村オールナイト漫才コンビである。彼らは、夜11時以降しか、活動しないという制約を立てて漫才をしている。それは、全く売れなかったときから、在る程度人気を確立した現在まで変わっていない。

木村「僕らはこれをユニットやと思ってます。よう歌手の人とかやってはるやないですか。演劇でもよくいろんな劇団の人らが集まって一回だけの企画公演をやったりしてますが」

山田「はじめはダジャレです。僕が信也で、こいつが徹矢。深夜と徹夜で、ミッドナイトオールナイト。くだらんでしょ?」

木村「それで漫才やろかいうことになって。こいつが、名前決めたんです」

山田ナイツ。二つの夜って意味ですね。うわ恥ずかし」

彼らのファーストライブ「二つの夜~盗んだマイクで語りだす」は、深夜12時スタートという特殊な時間帯ながら、多くのファンがつめかけ、新人のお笑いライブとしては異例の客入りであった。

「まあ、眠いんですけど頑張りますわ。仕事ですしね」
「当たり前や! どうも、すみません。僕らナイツいいます」
「夜の複数形ということで、ナイツです。すいませんね。なんか学があるとこ見せてもて」
「全然見せてへんよ。もうお前、はよ寝ろ。いやね、僕がミッドナイトで」
「僕がオールナイト。二人でナイツ言うわけですわ」
「僕ら、朝はバイトしてますんで、夜だけ漫才してます」
「まあ、半分寝言みたいなもんですわ」
「静かに、寝ろ! それを聞かされるお客さんが失礼やわ」

そして12月23日のまたもや深夜12時にスタートした第二回ライブクリスマスナイツ」も大成功。その次の年に始まった深夜の生放送コント番組「夜商売」が、深夜番組で10%の視聴率をとり、ナイツは一気に全国的に名が売れることになる。彼らの突っ込み「はよ、寝ろ!」はバリエーションを伴って流行語大賞となった。

「まあトゥナイトとか、僕らの心の姉さん達ですわ」
「心の姉さん、呼び捨てか。はよ、寝ろ」
「残念ながら、今はなるみさん一人になってますけど、そんで僕らのところ入ろかいう話もあったんですよ。夢の中ですけど」
「もう、はよ寝ろ。夢見ずに熟睡しろ」

「夜にしか漫才をしない」「夜に絡むネタしかしない」、この無謀とも思えるルールを、二人はデビュー3年目にして、未だ実行し続けている。

木村「いや、普通芸人としてのルールじゃないですからね」

山田ナイツというコンビでやっている間でのものです。あと所詮、企画なんで、長続きしないなあと思ってます」

木村「一生、これでやっていくんなんて、ちょっと自信ありません(笑)

そんな飄々とした二人だが、売れるようになってしばらくしたころ、同事務所のある有名なベテラン漫才師に呼ばれ、ナイツが、頑なに昼の仕事を断っていた事について、説教をされた。仕事がもらえるだけで素晴らしいのに、それを自らの我が侭で断るなんて、何様だ、と。

存在だけで、威圧感のあるベテラン漫才師に対して、二人は気圧されながらも答えた。


「これは僕達の企画の方針で、それを変えるなら、企画は解散です。それにお金ならアルバイトで稼ぎます」

これを聞いて、漫才師は怒鳴った。

「二束のわらじで、芸が出来るか!」

とっさに、オールナイトが怒鳴り返した。

「二束のわらじもはけないで、芸が出来ますか!」

震えながら、それでもずっと漫才師を見つめる二人に、漫才師

勝手にしろ」と言って、部屋を出て行ったという。

山田「めちゃめちゃ怖かったですよ。こいつが、余計なこというから…」

木村「オレのせいかよ。最初に反抗したん。お前やんけ」

何故そこまで、ポリシーにこだわるのかを聞くと、彼らは恥ずかしそうに答えた。

山田「それしか意味が無いんです(笑)」

木村「基本的に、人に迷惑をかけるものじゃなかったら、後は俺らの思いというか、そういうのが大事じゃないですか。やっぱり」

山田「元々、ポリシーのところしかなかったわけじゃないですか。まあ、洒落ですけど。なら、それは捨てられない。捨てないから、存在している。それだけなんです」

彼らの凄さは、発想の斬新さや、それを維持していく技術や底力だけでなく、この一途さ、自分の中心を自分に置いている強さだと思う。

「もう、休ませてもらわ!」
『どうも、おやすみなさ~い』
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2006-08-21結婚が墓場なら、そこで生まれた僕は、ゾンビとかになるのかな?

死が二人を分かたない

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「汝、この者を妻とし、健やかなる時も、病める時も、幾度、輪廻を繰り返したあとも、未来永劫、愛し続けることを誓いますか?」

「…いいえ」

「ちょっと!」

「いや、やっぱり、無理だろ。これ」

「何でよ! いつまでも愛してるっていったじゃない」

「言ったけどさ…。でも、お前考えてみろよ。今は良いよ。でも俺たちが死んで、転生した後なんてわかんないじゃん。もし、転生に時間差があってさ、俺が50過ぎてて、お前が8歳くらいだったら、そこに愛があったとしても犯罪になるんだよ」

「あなたが、60過ぎまで待てばいいだけでしょ」

「いやいや、お前はそれでいいのかよ。まあ、いいよ。それはまだ人間だから。じゃあさ、俺がハエで、お前が蛙だったら? 食べるだろ、お前。俺を食べるだろ」

「誰が蛙よ」

「例えだよバカ」

「私を愛してるなら、喜んで食べられなさいよ」

「厭だよ! 何で俺の一生分の愛が、お前の一食分なんだよ」

カマキリはメスがオスを食べるじゃない」

「だから、そういうのが、無理なんだって」

「何よ…、いつまでも愛してるって言ったのに…」

「だから、生きてるうちは愛していいよ。今は来世の話をしてるんだろ。バカ!」

「何よ。バカバカって! バカはあんたでしょ。誓うくらいできるでしょ。あんた、誓いを破ったら死ぬような真面目な人間だったっけ!」

「…あのさ、俺には、これが誓いというより、呪いに聞こえるんだよ…」

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