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2006-09-26冥奉行 泰山の閻さん

君は小悪魔

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「こっちに来て」

君は、微笑みを浮かべて駆けてくる。君が、とてとてと歩くにつれ、スカートフリルがひらひらして、長い黒髪がさわっと揺れる。とてとて、ひらひら、さわっ。気付いたら、君は僕の膝の上にいて、どーするの、とでも言うような大きな目で、僕の顔を覗きこんでいた。君の身体が、とても小さくて華奢なのに驚く。これで僕より年上だなんて。

君の少し吊りあがった目は、笑うととてもチャーミングになるんだな。黒いドレスが良く似合ってるよ。こんなことを言うと怒られそうだけど、この目に皆、騙されて、魂を抜かれちゃったんだろうな。

「抱きしめていいかい?」

君はこくんと肯いて僕の膝の上に座り、僕の胸にもたれかかった。僕は、君を壊してしまうような気がしてどきどきしながら、そっと腕をまわした。ひんやりとした君の手が、きゅっと僕の腕を掴む。

このまま時が止まってしまえばいい。


どれくらいそうしていただろう。

君は、腕の中から、僕の顔を覗き込んで、低い声で言う。

「さあ、三つ目の願いはなんだ?」

え、あ、今ので二つ? 

どこにもいかない

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スパッツ原田は悩んでいた。言うまでもなく、ライバルの長飛魚直樹のことである。


昨日の試合を思い出す。脂取り紙チヒロ太鼓腹篤の巨漢コンビの繰り出すエマニエル殺法を、小指と人差し指だけで止めた長飛魚直樹の、あの笑み。エスパーは俺だと言わんばかりの、あの笑み。牛百頭にそれぞれ名前をつけて可愛がっている巨漢コンビの猛攻を受けながら、長飛魚直樹は、余裕の表情で、鼻歌でも歌うようにして、実際に歌いながら、スパッツ原田に向かって、笑いかけていた。


「お前に出来るか? こんなことが出来るか? 無理だろうな。出来ないだろうな。何故ならお前は弱いからだ。俺より圧倒的に、弱いからだ!」


スパッツ原田には、長飛魚直樹がそう言っているようにしか見えなかった。

「くそう!」

スパッツ原田は、落ちていた石を蹴飛ばす。

「…どうしたの?」

蹴飛ばした石の先には、膝カックン冴子が立っていた。

「何でもねえよッ!」

「言ってみなさいよ」

「実は…」

スパッツ原田は、涙ながらに、全てを話した。

予約録画に失敗したこと。失敗してナウシカを上書きしていたこと。実はサッカーより野球が好きなこと。ブログを書いていること。最近トランプマジックに凝っていること。実はサッカー野球も嫌いなこと。ペン回しが出来るようになったこと。口内炎が直ったこと。実家の犬が子犬を産んだこと。

「え、味噌カツ、お母さんになったの!」

「どっちかっていうと、オマメさんだけどな。見に来る?」

「うん! いくいく!」

いつの間にか、陽は沈み、当たりは暗くなっていた。

スパッツ原田は、スパッツを脱いで、膝カックン冴子に被せてやる。

そして、二人手を繋いで、どこかに駆け出した。前の見えない膝カックン冴子が、派手に転んだ。

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