だって、思いついたから このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-09-28アブフレクサンドリア

信仰100%

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「困った」

淳平は、頭を抱えていた。

今、彼の部屋では、三人の幼馴染が互いに牽制し合っている。

順平が、小学生まで住んでいたこの街に帰ってきて、当時密かに憧れていた三人の女の子達と偶然出会うことが出来たのは非常な幸運であった。しかし、

「困った」

淳平はまたも同じ呟きを繰り返す。

不幸だったのは、その三人が成長し、巫女シスターと尼になっていたこと、彼女達が淳平を中心にいがみあっていることである。淳平自身は無宗教であった。

三すくみの一角、シスターが淳平に笑いかけた。

「淳平君、明日教会ミサがあるんだけど」

「淳平君! 明日神社お祭りがあるのよ!」

すかさず巫女が大きな声でシスターの声を遮る。

にこやかな顔のまま、シスター巫女の方を向く。

「今、私が、話しているの。順番は守りなさいって教わらなかったかしら?」

「うん。うちの神様は心が広いんで、面倒な教義とかないのよ」

「まとまりがないのよね、そちらの方々は。あら、あなたの大きなお尻に敷かれてる、クッションの神様は大丈夫かしら」

火花から、引火しそうな気配を感じて、淳平は二人を止めようとした。そのとき、それまで黙っていた尼層が口を開いた。

「淳平君は」

静かな声で、だが勝ち誇るように、尼層は言った。

「死んだら、身体は私の寺に入るわ」

淳平の家は一応、尼の寺の檀家である。でも、それがなんなんだと呆れる淳平は、二人のギリギリという歯軋りの音を聞いて、三人が大真面目であることを知った。

「だから、何?」と、睨む巫女

「別に。気にしないで、続けて」アルカイックスマイルを崩さない尼。

シスターはため息をつき、微笑む。

「愚かな人達。肉体がどこにあろうと同じこと。淳平君の魂は、私と同じ天に召されるんです」

「あんたの場合、地獄でしょ」

「あなたが地獄です」

「お前だ」

「お前らだ」

淳平が、再び頭を抱えたとき、部屋のドアが、大きな音を立てて開いた。

勝手なことばかり言って! ここをどこだと思ってるの!」

そこには、お茶ケーキを載せたお盆を持って、順平の妹が仁王立ちしていた。

お盆を乱暴においた妹は三人に向き直った。年下に怒鳴られ、我に返った三人に、妹はさらに言い放った。

「お兄ちゃんは、ラトクワャジ神様のところに召されるんだから! ムソウで私と永遠に生きるんだから!  神官の私が言うんだから間違いないの!」

言葉を失くして、妹を見つめる三人。

淳平は呆れを通り越し、ため息をついた。

「しょうがない奴だな……邪教徒の前で御名を口にするなんて」

悩んでも結果は同じだったかな、もう一度ため息をついて、淳平はバットを手にとり、無宗教の教義に従い、大きく振りかぶった。

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