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2006-12-30飛影は思っててもそんなこと言わない

アナザセブン

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ブログにおける七つの大罪炎上」「DIS」「アクセス乞食」「くねくね」「スパムコメント」「ネットイナゴ」「ぱんつ」を模した連続殺人事件が発生。コンビを組んだ老刑事と新人刑事は、上の意向を無視しながら走査を進め、インターネットを通してブログからブログへ人から人へ拡散し流通する『悪意』そのものが犯人であると知る。だが

「ごちゃまぜなんだ。みんなもってる。愛情も悪意も。だけど、悪いものに動かされないヤツもいるんですよ。アサコみたいに・・・」

新人刑事は、ブラウザを見つめながら呟いた。画面上には、彼の妻の日記今日嬉しくて泣いた事と今日のぱんつ」が表示され、最新の日記には彼への短いメッセージが書かれている。

途切れ途切れの嗚咽が、事件の終息を告げる。

「ちりじりになった悪意が、街にふってるわい……。だが、何にもかわらねえか……」


エピローグ


新人刑事は、悪意を持ったブロガーを叩くブロガーとなりネットに残った。皮肉にも最後の大罪「DIS」を体現することになった。

刑事は、ブログを始めた。

毎日腹の立つ事を一行だけ書き、嬉しかった事を二行書く。それだってブログだろう、と老刑事は思う。

刑事は、最後に見た新人刑事の奥さんの日記を思い出す。

刑事は、久しぶりに娘に電話をかけた。


「もしもし」

「おう。俺だ」

「おうじゃないわよ。久しぶり。元気」

「元気だ」

「で、何? 何か用?」

「いや、あのな」

「何よ」

「俺、ブログ始めた」

「は? お父さんが? ブログ?」

「誰も見に来ん。お前見に来い」

「…ぷっ。はははははは。行く行く。絶対行く」

「おう」

「はははははは」

「笑いすぎだ。……で、その」

「母さんは元気よ」

「そうか」

「そうそう。母さんね。実は1年前からずっとブログ書いてんのよ。父さんの先輩ね」

「そ、そうか」

「家庭を省みない男についてのエントリは秀逸だったわ」

「……そうか」

「反省と謝罪の日記を書いてさ、トラバでも送れば? そしたら母さんだって」

「と、虎場って何だ?」

「あはは。まだ早いかもね。じゃあね。今外だから、切るよ。今度アドレス教えてね。くふふ。あはは」

「ああ」


電話を切る。

刑事は思う。ブログが悪意を運ぶなら、きっと。

俺もいつか、あの奥さんのような日記を書こう。

刑事は、ブラウザを開く。とりあえず「虎場」を検索してみる。