だって、思いついたから このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-02-22マクドナドーナールードーアイムラビニー

自白探偵

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「事件が探偵を呼ぶんじゃない。探偵が事件を呼ぶんだ」


探偵は溜息をついた後、淡々と説明を始めた。

密室トリックは至って簡単です。この部屋の脱出経路は、東と南に面した窓と北側のドアのみ。死体発見時には、ドアには鍵がかけられてました。そして東と南の窓は」

警部が探偵言葉を継ぐ。

「どちらも開かなかった。内側から鍵がかかっていた」

前者は正解。しかし後者は」

手をピストルの形に変えて警部に向け、探偵は少しだけ笑った。

ウソだった。実は東の窓には鍵がかかってなかったんです」

「そんな……俺とお前で確認したろう」

警部が驚いて探偵に聞き返す。

「警部は手順を間違えたんですよ。まず先に二つの窓が開かない事を確認してから、二つの窓のカギを確かめた。開かない東の窓に鍵がかかってないと思い込んだ警部が、南の窓が開かない事を確かめ、カギを確認していたとき、犯人は鍵を閉められたんです」

「なんと……そんな事が。まさか、そんな大胆な」

警部がうめき声を上げる。

「ええ。大胆な犯人です。窓は外側からつっかえ棒で開かないようになっていました」

ううむ、警部は自分の失態にうなった。

探偵は一度眼を瞑った後、推理の仕上げを行なう。

犯人は、死体発見時にその場に居合わせ、窓の確認をした警部の後に誰にも気づかれず鍵を閉める事が可能で、窓の外側の仕組みを誰よりも早く片付ける事ができた人間。何より、事がうまく運ぶように、犯人は現場の空気を支配しうる立場になければいけない。それに該当する人間は一人」

その場にいる全員が探偵の次の言葉を待った。警部はいつの間にか手錠を手に持っている。

「それは、この僕です」

「10時46分、被疑者確保」

呆然とする皆をよそに、警部の事務的な声だけが響き、探偵が連れられていく。


自白探偵は、現在において43事件を解決し、うち13件の犯人探偵自身、24件が共犯もしくは協力者であった。44番目の今回の事件では、おそらく出てこられないだろうと関係者は見ている。正直で明け透けな性格は、彼を知る人には好かれていたようだ。

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