だって、思いついたから このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-03-07実に30人が30人とも犯人であった

ジャンプ裏会

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ユンボルが終了したようです。でも僕はまだ終りを観測していないので、ユンボルは50%の確率存在しています。このシュレディンガーユンボル、偽量子力学マインドセットを用いて、ユンボルを愛する皆さんはジャンプ14号を見なければよかった。そうすれば、永遠ユンボルは見られませんが、ユンボルは死にません。でも、本当にユンボルを愛する皆さんはユンボルを見るでしょう。それが終りだとしても。それが終りだからこそ。僕はそれが羨ましく、誇らしい。


さて、アンケート至上主義という言葉があり、それが今のジャンプの根幹にあり、それこそが病巣であると考える人は多いかと思います。ユンボルに限らず、好きなマンガが打ち切られ、ジャンプに何かしかの黒い感情を抱いた事は、誰しもが経験しているのではないでしょうか。しかし、ジャンプを責める前に、アンケートの向こう側である読者について考える必要があるのではないかと僕は思います。アンケートシステムというセキュリティホールに巣食う悪意にこそ、注意を払うべきではないかということです。


夕暮れ時の教室は、異様な空気に包まれていた。放課後の誰もいないはずの席は、全て人で埋められている。低学年も、高学年も、中には中学生高校生制服を着た者達まで混じっている。そして、それだけ多くの人数が、一言も私語を漏らさず、ただ座って、誰かを待っている。そこには、じっとりと汗ばむような、静かな熱と不気味な空気があった。


ガラガラと大きな音を立てて、教室の扉が開いた。静かな教室に、息の漏れる音が連鎖する。

入ってきたのは、小柄な少年。黒いパーカーに、穴の開いたジーパンランドセルを右手にぶら下げ、気だるそうに入ってくる。ぼさぼさの髪と半分とじた目は、少年の風貌を幼くだらしないように見せているが、教室の異様に全く染まらない少年にこそ、真の異様が感じられる。小柄な少年に続いて、彼より少し背の高いメガネをかけた少年が入ってくる。細身の体にぴったりしたシャツとパンツは、小柄な少年よりも大人びてみえる。


小柄な少年は、教壇の上に、ランドセルを置くと、そのまま教壇にもたれかかった。

アキラ

同年代か年下に見える小柄な少年の呼びかけに、アキラと呼ばれた少年は、緊張した面持ちで答え、小柄な少年の横に立つと、二人を見つめる少年少女たちに向かってはっきりとした声で宣言した。

「これより、ジャンプ裏会・本部会議を始める」


アキラは手元の資料を見ながら報告を続ける。

「今週の新連載ですが、以前仏ゾーンシャーマンキングを連載していた武井宏之が『重機人間ユンボル』という連載を始めます」

小柄な少年の目がすっと細まる。その些細な動きに、アキラを含めた教室中の人間が注目し、緊張した。まるでその一つの動作が、自らの命運を示しているかのように、一心に見つめる事に集中する。

アキラは職務を全うするように、努めて声を出した。

「いかがなさいますか……会長


会長と呼ばれた少年は、黙って顎を軽くあげ、握り込んだ拳の親指をあげて、首の前に線を引くように、ゆっくりと左から右へと動かした。

「掻っ切れ」


「……ユンボル打ち切りッ! 裏会本部より通達……! ユンボル打ち切りッ!!」

アキラの復唱の後、すぐさま少年少女達は各自の携帯電話で支部に連絡を開始する。それぞれの支部では、各地区のリーダーである100人規模の少年少女が待機している。号令から一時間後、全国の構成員に通達が行き届き、作戦が開始される。


「期間はどれほどで……?」

「10週だ」

アキラは驚く。かつての人気作家としては驚くべきスピードだ。

「前作シャーマンキング打ち切りとは言え、30冊以上出ております。固定ファンも……ついているでしょう。それが、10週で終わるとなると」

アキラは歯切れ悪く、会長意見した。

会長は口の端をあげる。


「終わるとなると、どうなる? 『大きなお友達』が悲しむ、か? ……それがいいのじゃないか」

少年は窓の外の真っ赤な夕陽を見た。夕陽は空と街を真っ赤に染めようと燃えている。

「誰もがジャンプを見限るようなトピックが必要だ。それくらいやってやればいいんだよ。だが、もはやその程度では、またか、とかしか思われん。今やジャンプに良識など望むべくもない。何が起こっても不思議ではない空気。それが今のジャンプにはある。それを、我々が作り上げた!」

少年の目は今や完全に開いている。その奥には真っ赤な光が揺れている。

ジャンプを憎め! かつての少年少女たち! だがジャンプは死なない。我々のジャンプ永遠だ。はははははは。楽しいじゃないか。なあ、アキラ

アキラは主人の考えに、喜びに同調し、満足そうな笑みを浮かべる。

「それでもクライアントは喜ぶでしょう」


「ところで……」

少年は高揚を瞬時に収め、目に厳しさを宿らせる。

「冨樫は見つかったのか?」

「いえ、まだです」

「そうか」

「全力で捜索しています。しかし、冨樫が裏会に気付いたというのは」

「わからない……だが、厄介だな」

夕陽は、いつのまにか半分ほど沈み、辺りには薄く闇が降りてきていた。

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