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2007-03-09一回やってみたかった

何があったの?

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「何で、僕ばっかり……! Bだって……。Cだっているだろォ!」


龍馬以外全部暗殺からくり

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ぎぃと歯車の軋む音がする。


――吐きそうだ

龍馬は息苦しさに喘いだ。熱のせいで身体はじっとりと汗をかき、だが肌は驚く程冷たい。

中岡がさっきまでぶつぶつと何か呟いていたが、ついに息絶えたようだ。しんとした夜に、歯車の音だけが響く。


ぎぃ。かたん。


「ひぃ、ふう、みい、よぉ……たくさん、か」

龍馬は目だけを動かして、部屋の中を確認した。今、部屋には9人の刺客がいる。男達は、全員顔を覆面で隠し、薄い安物の着物を着ている。部屋に入ってから一言も喋っておらず、出身も判別できない。

奇妙なことに、男たちは抜刀していない。ただ手をぶらんと下げて、こちらを見ている。しかし、龍馬はこれまで味わったことのない緊張感を感じていた。

――奇妙なんは、あん目じゃ。

男達はこちらを見ている。だが、龍馬を見ているのかどうかはっきりしない。その目は皆一様に丸く、ぽっかりと空いた穴のように真っ黒である。その目からは一切の感情を読み取る事ができない。見るものを不安にさせる奈落の目。


かたん。


そして、先ほどから部屋に響くこの音。龍馬嘔吐感を必死で抑える。

「お前ら、どこじゃ?」

龍馬の問いに男は答えず、ぎぃしという音と共に男の腕が後ろに引きしぼられた。

龍馬は、突然現れた男の動きを思い出していた。音もなく現れた男は、その拳一撃で、龍馬と向い合っていた中岡の後頭部を打ちつけ、そのまま身体ごと吹き飛ばし、窓を打ち破った。今、窓枠からは中岡の足だけが、ぶらんと垂れ下がってる。

龍馬は、本当に久しぶりに、手元に刀がないことに不安を覚えた。


ぎぃ、とん。十分に男の腕が引き絞られた音と共に、龍馬は、身を屈めて、男の足に飛びついた。頭の上を、腕が通り過ぎる音がした。龍馬は足を中心に相手の背後に廻り、男の顎に銃を突きつけて撃つ。

中岡が生きていたとしても、俺達は死ぬだろうな、と龍馬は思った。

軽い音がして、弾は容易に顎から脳天にかけて突き抜けたが、男はそのまま上半身を回転させ、龍馬をふりほどいた。龍馬は一瞬早く飛びのき、別の男の後ろに周り、男達を順に撃った。

――だが俺ひとりなら。

この部屋は、この異様な化け物の群れには狭すぎる。


きり。

先ほどの男の腕が、再び後ろに振り絞られている

「それで、どうする?」

ぎぃ、とん。男の拳は龍馬が盾にする男もろともに貫き、破壊した。

――躊躇なし。だが、それはやりやすい。

龍馬は常に動き続けた。掴まれば終わりだろう。だが、部屋の狭さは竜馬に味方した。動く的に翻弄された男達が直線に並んだとき、龍馬は全身で持って端の男にぶち当たった。重心のくずれた巨体は、仲間を巻き添えに倒れる。


座敷を飛び出て、そのまま階段を駆け下りた龍馬は、そこで動きを止めた。

「龍さん」

おりょう

階段の下には、一糸纏わぬ姿の妻おりょうが立っていた

「わたし、心配で」

現実離れした現実に、龍馬は、一瞬、状況を忘れた。

「なぜここに」

おりょうは一歩階段を上がる。

「とても、心配で、本当に」

おりょうは一歩階段を上がる。

「本当に、坂本さんを、殺せるのか」

おりょうの腕が伸び、遅れてかわそうとした龍馬の額をかすり、二撃目が龍馬の身体を上階に吹き飛ばした。


「……しくじった……な」

二階の部屋に戻され、壁にもたれながら龍馬は呟く。身体が動かない。額から、何かが垂れて、ぼたぼたと膝の上に落ちる。

ぎぃと音がした。竜馬が薄く目を開けると、男達が、龍馬を見つめていた。そこには死んだはずの中岡がいた。その目は、暗く、感情を感じない。目から、首から血を流している。

――皮を、剥いで、そうか。

おりょうがいた。覆面がとれて、男達の顔がよく見える。桂がいた。西郷がいた。武知がいた。藤吉がいた。新撰組の知った顔もあった。

知った顔も知らない顔も、皆一様に奈落のような暗い目をして龍馬をじっと見ている。


「……はは、おれは脳をやられている」


ぎぃ。


その中で、龍馬が撃った顔のない男が、一歩近づき、龍馬の顔に手を伸ばした。

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