だって、思いついたから このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-05-13両義的に彼女

中の人などいない

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ガチャピンエアギター決勝進出!

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070502-00000023-dal-ent


「これは… …この部屋は」

その光景悪夢に近かった。目の前にある無数に並ぶカプセル。透明なガラスの向こうには紫色の液体で満たされていて、その中には緑色の恐竜の姿。全てのカプセルに1体ずつ、死んだように恐竜が浮かんでいる。

「見てしまったね。ムック

ムックが振り向くと、いつの間にか、緑色の恐竜――ガチャピンが、カプセルに寄りかかって立っている。

「ワタシは何を、見ているのですか。私はガチャピンと話をしながら、ガチャピンガチャピン達を眺めている……これは、何です」

「夢ではないよ。もちろん。これは現実だし、コレらも全て僕で、僕はガチャピンだ」




ポンキッキは終わる。どうしても終わる。僕はあらゆる可能性をシミュレーションしようとした。生き残るための多様性が必要だった。それが答え。ポンキッキを終わらせない為の、苦肉の策。茨の道。バベルの塔。僕らは全てを投げ打ったんだ」

クローン……」

残念だけど、違うよ。クローンを作り、必要な能力を覚えさせるのは時間がかかるし、確実ではなかった。……平行世界を知ってるかい? こことは少し違う可能性の世界だ。シミュレーションの中で、偶然にも僕は平行世界を見つけた。そして、そこにいる僕とコンタクトをとることを成功させた」

「呼び寄せたのですか……!。それぞれの世界のそれぞれのガチャピンを」

「全ての世界の力を使えば、永遠ポンキッキは続くのではないかと思った。そして、その思いは、住む世界を異にする僕らでも変わらなかった。万の死をもってしても、一の生があるのなら、と僕達は思ったんだ」


ムック言葉を続けられない。目の前の友人からは、静かな狂気と狂喜が伝わってくる。プロペラが廻る。高速で脳が認識リライトしていく。

友人は、いつもの半眼で、感情を込めずに続けた。

「そう、さっき君の殺したガチャピンも……ね」

プロペラが止まる。唐突にフラッシュバックガチャピンの家。飾られたトロフィー。写真。手にしたトロフィーは、まっすぐに振り下ろされ、

「ワタシは、無駄な事をしたわけですな」

砂漠の砂を失くそうとしてスコップで一すくい、それくらいかな」

そして、二匹は笑う。乾いた笑い声が、暗い地下室に響いた。そのほかには、カプセルからする、虫の羽音のような機械音と、コポコポとカプセル内で気泡が生まれる音だけがある。


ガチャピンが先に笑うのをやめた。カプセルに寄りかかった体を真っ直ぐにして立つ。

ムック。僕の目的ポンキッキ永遠に存続させることだ。それだけなんだ。だから、水に流そう。ポンキッキには君の力が必要なんだ。僕と君がいれば、ポンキッキ存在し続ける。僕と君がポンキッキなんだよ」

ムックはじっとガチャピンを見て、その大きな口を開いた。

「ひとつ教えて欲しいのです。その平行世界を渡る術はあなたが? それとも他の?」

「装置と技術は僕のものだ。あと実は僕は君の世界のガチャピンじゃあない」

「それを聞いて安心しました」


くるくると、ムックの上でプロペラが廻っていた。やがて、そのプロペラがゆっくりと空にあがっていく。ムックを残したまま、ずずずずずずずとざらついた音をたて、プロペラが上昇していく。プロペラの上昇に従い、ムックから白い管が引き抜かれていった。それは節を持ち、脊椎のような形をして、白濁した液でぬめっている。

ぐるんとムックの目が白目を向き、ムックの体が崩れ落ちた。ぐにゃぐにゃと溶けたようなムックの体の上方から、声がした。そこには、依然プロペラが廻っていた。そして声はプロペラから発せられている。回転する羽の中心には、いつのまにか大きな目が開いていた。

「君でよかった。初めて会う、ワタシの友達。ワタシの新しい身体

ガチャピンは全く反応できない。その白い管のついたプロペラは、予想外のスピードで、ガチャピンの脳に、その尾であり本体でありインターフェイスである管を突き刺した。侵入と制圧は一秒もかからない。誰も知らない地下室で、二匹の生物が死に、一匹の新しい生物が生まれた。


「ワタシの目的も同じです。ガチャピン永遠生きる事。このワタシが永遠に」

くるくるくるくると、緑の恐竜の上でプロペラは廻り始めた。

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