だって、思いついたから このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-06-16夢か……運命か

リア・ディゾン前夜

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私の少女時代は、待つことだった。私が私であるためには、ただただ時間が必要だった。1秒が1秒かかって進むことにとても苛立った。あのころ、私をいつも怒鳴りつけた村長の言葉が思い出される。




「……リア……リア! リア・ディゾン!」

ぼんやりとしていたようだ。私は呼び声に引き戻される。カウンターで頬杖をついていた私の横に、いつのまにか、憤懣やる方ない顔で、声の主が座っていた。

「もう、何よ。あんたが全然帰ってこないから、探しにひたのに」

そう言って、私にもたれかかる彼女は、既に呂律が回っていない。飲み過ぎだ。

「わたひはね。リア。みんなでね……」

この国の人間達は、自らの限界を伸ばすことよりも、限界に挑む事を尊ぶ。聞こえはいいが、要するに現実を見ていないのだ。彼女のように。

「わかったわ……直ぐにいく……」

「直ぐに……? 何、リア。もしかして、マスターとできてんのぉ」

カウンターの向こうには、眠たそうな目をした男がグラスを磨いている。しかし、男は私達を見ても、全く表情を動かさない。

「バカなことをいってないで……」

私は、彼女の肩を持ち、”みんな”の方へに押し出す。そちらでは、泣きじゃくる女と、笑い転げる女が、それでも酒を飲み続けている。

「……んなわけないか」

にっこりと笑うと、彼女は、二人の下にふらつく足で向かう。溜息をついて、私も席を立とうとする。そこに、男がカクテル差し出した。

「頼んでないわ……」

サービスです」

男の目は相変わらず眠そうで、私は溜息をつき、男を睨む。

「必要ない……気持ちだけ、ありがと……」

男は、少しだけ目を見開き、私を見つめる。

「今は、リア・ディゾンと呼ばれるのですか?」

瞬間的に、記憶が刺激され、でも、

感傷よ……それは」

私は、過去に向かって微笑うと、カクテルを手にとった。

「これ、やっぱりもらうわ」

そして、喧しい現実に向かって、歩き出す。後ろから、男の呟きが聞こえた。

「生きてたのか……Dの意思は」

Dの意思じゃない。

それはもう、リア・D・ゾンの意思。



グラビア王に、俺はなるっ!」

「バカ言うな!」




そして、伝説は始まった。

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