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2012-12-28ライフステージはもうゼロよ

女の子が生まれたら④

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娘はそう悪くない顔立ちなのに、泣くとかなりの不細工になって、それが可愛いやら面白いやらで、俺は娘が泣くたびにニコニコしてしまうけどその度に妻に怒られて反省する。でもニコニコは止められない。笑みはこぼれるもので、アクシデントなのだ。そんなこんなの間に娘はすくすくと成長して泣くこと自体少なくなって、俺は何だか寂しいようなほっとしたような気持ちを抱いたのも束の間、その娘が就職して3年目にいきなり結婚前提お付き合い彼氏を連れてきたので新展開に俺は飛び上がる。ゆ、ゆるさ~ん……なのか?俺よ!

二人を前に内心わーという感じに舞い上がってる俺に比べて、隣の妻はいつも通り落ち着いていて、これは前もって知っていたに違いないとか思うと、何だか俺だけ仲間外れみたいで寂しい感じとか、言えよ~お前ら~みたいな面白い感じがこみ上げてくるのを何とか押し殺して父親らしい父親を演じようと俺は頑張る。なのに「娘のどこが気にいったんだい」という軽いジャブに対して彼氏は真面目な顔をして「美帆さんの顔です」とか何だかからないのを返してくる。早速のラリー失敗に、俺は崩れかけるが「こういう正直なところが好きなの」と娘は何だか嬉しそう。娘ののろけに唐突嫉妬心を煽られながら、それは今置いといて、そうなの?それは彼の美徳でいいの?ビジュアル目的結婚する事は問題じゃないの?と俺は混乱するけれど、そういや俺も妻の顔が好きで付き合ったんだったと思い出す。じゃあ、いいかと納得しかけるが、いやいやでも他にも笑いのセンスとか俺以外の人への優しさとか諸々に惹かれたんだから顔だけじゃないと盛り返す反対勢。

隣の妻をうかがうが、彼女は肯定も否定もない「あなたが決めなさい」という顔で前を向いていて、俺一人で考えるしかないけれど、やっぱり俺にはわからない。ゆ、ゆるさ~ん……なのか? 俺よ!

結局、わからないまま会談は終わり、その次の会談で、俺は結婚を許す。流されたわけでもないし、彼氏のことはわからないままだれど、これは元々許すとか許さないとかの問題じゃなくて、俺に求められていたのは俺はお前達を応援するぜという意思表示であって、それなら俺の意思は娘が生まれてからずっと決まっていたのだった。


それから7年が経っても二人は仲良くやっている。正雄君(娘の旦那)は娘を大事にしてくれて、それはたまに夫婦揃って帰ってくる娘の表情からうかがえる。だから、俺はほんの少し心配になって娘に聞いてみる。

「お前、正雄君の前で泣いたことある?」

「あるよ。けんかしたときとか普通に。当たり前じゃん」

「そうか」

それは、正雄君が本当に娘の顔目当てで結婚したとしても、その後でその他諸々の娘の良いところを好きになったのかもしれないし、元々そういう諸々も含めて娘を好きだったのかもしれない。それとも正雄君はあの不細工な娘の泣き顔ですら好きになったのかもしれないし、不細工な顔が好きなのかもしれない。そして、それはどれであっても娘にとって幸せなことなのだ

俺は何だか恥ずかしくなって笑う。

娘も笑って言う。

「お父さん、その顔、結構不細工だよね」

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