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2018-02-05いろいろ嫌すぎるから

さよなら、アンパンマン

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夕焼けの空をアンパンマンが泣きながら飛んでいる。

家に帰る途中の動物たちや、今日の奉仕を終えた食べ物マンたち、みんな、それを見て何とかしてあげたいと思う。カバオくんも同じように思っているが、何だか口の周りが甘くておいしいと、舌を伸ばして、口をなめまわしている。


涙で力が出なくなって、アンパンマンが地面に降りてきたときに、みんなでその周りに集まって事情を聴く。アンパンマンは、地面に両手をつけたまま、みんなとお別れしなくてはいけなくなったから、泣いているのだと説明する。

みんな、とても驚いて、とても悲しくなる。

ジャムおじさんが、みんなとお別れしなくてはいけないというのだとアンパンマンは泣く。

ジャムおじさんが言うのなら、何か理由があるのかもしれない。みんなは、泣かなくていいよとアンパンマンを慰める。

どこに行くのかわからないけど、きっとまた会える。そうだ、僕たちもジャムおじさんに理由を聞いてみよう。


うわ~んと泣くアンパンマン。

ちがうんだ、とアンパンマンは言う。みんなは、何が違うの?と聞く。

どこかに行くのは、みんなで、もう会えないんだ。といってアンパンマンは泣く。

みんな、アンパンマンが何を言っているのかわからない。

アンパンマンの顔は涙でふにゃふにゃになっている。


悲鳴がする。

みんなが、そちらを向くと、カバオくんが、上あごを、下あごを使って噛みついて、食べてしまっていた。みんなが、驚いて止めようとするけど、カバオくんは凄い力で、近づいたみんなをふりほどいて、なげとばしていく。

甘いんだ。とっても、美味しいんだよ!とカバオくんは叫ぶ。

やがて、カバオくんの下あごはカバオくんの顔の上半分を食べてしまって、

キノコのかさのようになった首の穴から、なんだかわからない音だけが漏れている。


みんな、完全に空気にのまれてしまって、完全に硬直している。やがてカバオくんが震えだし、お腹が一気に膨らんだかと思うと、破裂する。

そして、カバオくんのお腹からは、握った拳を空に伸ばしたアンパンマンの上半身が現れる。

元気!百倍!アンパンマン!

しかし、カバオくんから這い出した新しいアンパンマンは、顔が血だらけで元気がでない~、と言って地面に倒れ伏す。


うううわああああああ!と悲鳴をあげて、それを契機として、体が動きはじめたのか、方々に逃げ出すみんな。だけど、めいめい、すぐに身体が動かなくなって、身体が震えだす。そして、その口からあるいは腹から、新しいアンパンマンが飛び出していく。飛び出す時に、みんなの脳漿や内臓や血が辺りに飛び散る。

元気!百倍!アンパンマン!元気!百倍!アンパンマン!元気!百倍!アンパンマン!顔が…元気!血まみれ…アンパン…元気!…がでない…百倍!…アンパンマン!…百倍!…顔…元気!…血…元気!…元気!…元気!……


アンパンマンたちの輪唱が終わると、顔が血と臓物でビショビショになって元気のないけれど、なんとか立ち上がったアンパンマン達が、ひとりずっと泣き続けている最初のアンパンマンの周りに集まっている。


そこに、向こうからキュラキュラとキャタピラを軋ませて、アンパンマン号が近づいてくる。上のハッチから、バタ子さんが顔を出している。

成功したみたいねと言いながら、アンパンマン号から飛び降りたばた子さんは、血まみれのアンパンマン達を一人一人チェックしている。

アンパンマンは泣きすぎて、顔が完全に濡れてしまって力が出なくなり、座り込んでいる。

そこにジャムおじさんが近づいて肩に手を乗せて優しくなぐさめる。

アンパンマンや。もう泣くのはおよし。これは正義のために仕方ない犠牲なんじゃよ。

しかし、アンパンマンは、だって、だってと子どものように泣きじゃくっている。

ジャムおじさんは、頭に手をやり、困り顔でつぶやく。困ったねえ、オリジナルには、彼らを率いてもらわないといけないんじゃが。

顔を変えれば、大丈夫でしょ。簡易のチェックを終わらせたバタ子さんが言い、アンパンマン号に戻って、しばらくしてから、ハッチから顔を出すと、手に持っていた新しいアンパンマンの顔を放り投げて叫ぶ。

アンパンマン! 新しい顔よ!

泣いていたアンパンマンは条件反射で声の方を向き、そこに新しい顔がドンピシャでぶつかって、涙でぬれそぼった顔が弾きだされる。新しい顔は、クルクルと回転した後、正位置で停止して、きらりと光沢を魅せて言う。

元気!百倍!アンパンマン


どうだね。気分は。

顔が綺麗になって、すっきりしました。まだ少し悲しいけど、後ろばかり向いてちゃダメですね。とアンパンマンは言う。

そのとおりじゃとジャムおじさんはにっこり笑う。

そして、ジャムおじさんは増えた仲間たちにむかって、号令をかける。

よーし! パン工場に帰ろう! 工場にはみんなのパンも焼きあがっとるぞ!


はい!というアンパンマンたちの合唱。

オリジナル・アンパンマンが、彼らの先頭に立って、空に飛び出していく。

生まれたばかりのアンパンマン達も、血と臓物にぬれて力がでないなりに、ゆっくりと空に飛んでいく。

ジャムおじさんとバタ子さんが、アンパンマン号を走らせながら、声をそろえて言う。

それ! ゆけ! アンパンマン!

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