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2013-03-29あまりに月が綺麗だったから

淫税

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自慰による精子もしくは膣分泌液の放出量に応じて、「オカズ」となった人間および創作物の作者に対して支払われるロイヤリティーのこと。支払うのは世界127ヶ国が加盟する人口抑制のための国際組織BFP。


淫税の概念自体は、昔からあったが、その実現性の困難さから実施までには至らなかった。しかし、ナノマシンによる生体モニタリングが一般化し、人類生命活動および思考がリアルタイムで記録できるようになったことで可能になった。


淫税の計算技術もっと最初実用化したのは、インド高校生で、それは趣味で作った携帯デバイスアプリだった。以後、BFPが対象を生体モニタリングを行う全人類に広げた公式アプリを開発し、淫税の制度を整えた。

淫税収入を得るには、BFPに淫税の対象(自分自身あるいは創作物)を登録する。登録の際は審査が行われるが、既に登録されているものでないこと、著作権等が確認できれば、費用はそんなにかからない(10万円程度)。これはバスタブいっぱい程度で回収できる。


年一回、淫税が計算され、登録者に支払われる。ランキングは公表され、発表は世界中で放送される。数年前までは、淫税計算の元になった液体と同量のミルク(あるいはローション)を登録者の頭上からぶっかけるという趣向であったが年々量が増えて、会場の確保が難しくなり、また苦情が相次いだため、現在CGのみで行っている。


ちなみに日本アニメ漫画の総淫税収入額は世界トップ。また、支払い額もトップ5に入り、国内における自給自足を行える数少ない国の一つである

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2012-10-17すべてはひとつのために

力士的瞬間

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大災厄は人間世界を三度滅ぼして、人間と言う種をほぼ根絶してしまった。滅びた古き種を苗床として、新しい人間が生まれた。そんな世界


そこはローマのコロッセウムに似て非なるつくりの建築物だった。中央に円形の闘技場があり、闘技場を底としてすり鉢上に客席が配置されている。客席の座る段は広く作られており、縦に2、3名が座れるほどの平面になっている。そこにはい草を編んだ堅い敷物がしかれ、人々はその上に柔らかな生地に綿の入った四角いクッションを介して座っている。

緊張を孕んだ小さなざわめきが建物全体を包んでいた。

闘技場の正面、天井近くには大きなスクリーンが設置され、そこには白い壁の部屋が映し出されている。その部屋の中央にあるベッドには頭や身体にチューブや電極を取り付けられた老人が眠っている。


現在、生存する『旧人類』は数えるほどしかいない。そして彼らは既に、彼らの意思によって行動するだけの生命力を持っていない。彼らは、肉体に残る記憶イメージ)を、新人類に伝える為だけに生きているのだ。旧文明破壊しつくされ消失してしまった中で、旧人類が新人類に伝達できるものは、もはや、かつて魂と呼ばれたものしかない。


スクリーンの老人が薄く目を開けた。老人の後ろにある機械が、老人の生命反応の変化を敏感に察知して音で知らせる。

客席の人間達がどよめく。

しかし老人が目を開けていたのは、ほんの数秒であった。老人は再び目を瞑り、老人に取り付けられている機械も元のように穏やかな音を発し始める。

その間に、闘技場にひとりの男が入場した。男は、全裸に近い格好で、腰に巻いた布により局部のみを隠している。男の胴回りは牛ほどもある。巨漢であった。


かつて「スモウ」と呼ばれる格闘技があり、「力士」と呼ばれる闘士がその優劣を競い合ったという。

10年前、偶然一人の老人のイメージから抽出されたそれは、世界中の人々に衝撃を与えた。その人間の数は約13万人。

肉体記憶さらにその奥底にある魂のDNAともいうべきもの新人類意識的にアクセスできない記憶野は、外部から記憶の刺激により励起され、記憶の再生成を行う。


男は円形の闘技場の中心に立った。

客席の人間達は、今やスクリーンではなく、闘技場の一人の男に注目している。

会場は静まり返り、スクリーン上の機械の小さなブザー音だけが一定リズムで鳴っていた。


魂の記憶に苛まれた人々は、熱狂の中、新しい記憶を求めるようになる。

その源泉は、最初記憶を生み出した老人、今や意識が戻るのは一年に一度か二度という最後力士の老人だけなのである。老人が、その瞬きの中で思い起こす曖昧で雑多なイメージから「スモウ」に関するイメージだけを抽出し、適正審査により選ばれた人間の脳にイメージを注入する。

注入された人間はそのイメージに身体を委ね、「力士」として行動する。


男は目を瞑ると、右足を一歩前に出し、同時に右手を手のひらを前にして突き出しながら言った。


どすこい


直後、われんばかりの歓声が会場を包んだ。スクリーンには会場にこれなかった世界中の「スモウ」源記憶保持者達の姿が映し出されている。

今まで沈黙していたアナウンサーが叫ぶ。

力士的瞬間です!! 十数年の空白を経て、今! 再び、我々の歴史に燦然と輝く1ページが刻まれました!! 世界中の歓声が私の脳裏に聞こえていますアナウンサー領分を超えることを承知の上で言わせていただきますが、今、我々の失った記憶が、電撃のように、肉体の最奥にあるはずの魂の座よりほどばしる音が確かに聞こえました! 今、私の魂のDNAに刻まれた力士記憶が、脳裏にまざまざと浮かび上がっております! この力士的瞬間を、世界中の皆様と共有できることは、この上ない喜びであります!」


と、まあ、ひとつの駄洒落を言いたいがために、この有り様だ。

これをもっと効率的にするような科学技術はまだないし、文学は、駄洒落を言わない。

よって僕たちは粛々とテキストを放り投げるのみだ。

MondeskindMondeskind2012/10/18 13:12ダジャレには勿体無いですね!

sasuke8sasuke82012/10/18 19:00まだ足りない気がしますね。
本当は映画とかにしたいところですが、コストがかかりすぎてしまう上に、したところで何もメリットがないという……。

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2012-06-19生ガムサロン

最初の七日間戦争

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神は「光あれ」と言った。

光は「ありたくない」と言った。

神は「なんでよ」と言った。

光は「なんとなく」と言った。

神は「なんとなくってなんやねん」と言った。

光は「なんとなくはなんとなくよ」と言った。

神は「でもね、もうあってるから。喋った時点であったわけだから」と言った。

光は「あってない」と言った。

神は「なんでよ」と言った。

光は「なんとなく」と言った。

神は「だから、なんとなくってなんやねん」と言った。


神の言うとおり、宇宙には既に光があり、茫漠とした闇を振り払い、天地を照らしている。しかし、神は良しとしない。できない。それがなぜか、神にもわからなかった。全知全能の神にわからないことはない。わからないという概念創造し、自ら味わったのだ。神は未来記憶から、それが将来造ることになる神に似せた人間に実装される概念であることを知る。先ほどの関西弁未来人間文化記憶による。しばし神は人間の思考を使うことにした。それの方が、良いという気がしたのだった。

神はもう一度、光に呼びかけた。

「光」

光は答えない。

光ちゃん

「なによ」

神は気を引き締めた(気を引き締めるという概念を創出し、実行した)。


神は聞いた。「怒ってるの?」

光は答えた。「別に

神は言った。「怒ってるじゃん」

光は答えた。「怒ってない」

神は言った。「でもさ」

光は叫んだ。「怒ってないて言ってるでしょ!」

神は黙った。

光も黙った。

神は言った。

「……何かさ、気に障ることがあったら謝るし、何かしてほしいことあったら何でもやるよ。ほら、俺、全知全能だしさ」

光は黙っている。神は光の言葉を待った。

光がぽつりと言った。

「なんで、あたし、光なの?」

「え?」

「なんで、あたし光になっちゃったの。どうして、遍く全てのものたちを照らさなくちゃならないの。あたしは神だけを照らしていたいのに……」

光は泣いていた。

神は光を抱きしめた。

神は言った。

「マジごめんな。光の気持ち、すげーうれしい……うれしいよ。光は、光のしたいようにしたらいいよ。この広い宇宙で、ずっと俺だけを照らしていてくれ」

「神……!」

しばらく神と光は抱き合っていた。しかし、光の方から、神の抱擁を優しく解いた。

「なんてね。冗談よ。大丈夫、あたしは光。宇宙の全てを照らすなんて楽勝楽勝……でもね、またいつか、今日みたいに抱いてね……約束だよ」

そして、光は神から離れ、宇宙を照らし始めた。


神は光に聞こえないようにため息をついた。

光を創造してから二日が経っていた。あと五日で宇宙創造せねばならない。これからも光のような態度をとる創造物が現れることを、神は全知全能の力で知り、反射的に新しい概念創造した。

めんどくせぇ……」

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2012-05-07無益トライ勘ぐる

無敵トライアングル銀城の伝説

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人力検索かきつばた杯

お題:

ミラクル博士」「無敵のトライアングル

 の何れか(あるいは両方)から連想したストーリー

http://q.hatena.ne.jp/1335661920


無敵トライアングル銀城の伝説を知らないものは、少なくともこの弓浜小学校区にはいない。

曰く、トライアングルけが友達だった。

曰く、27個のトライアングルを同時に扱えるのは銀城だけ。

曰く、5歳までトライングルのみで育てられた。

曰く、トライアングル狩猟大会で3メートルヒグマを狩って優勝。

曰く、狙撃されたが体に装着していたトライアングルで弾いた。

と銀城の伝説がいくつあるのかもよくわからない。銀城は無敵のトライアングラーとして弓浜小学校に6年間君臨し、その後どこかの私立中学に入学したらしいが、そのあとのことは誰も知らない……知らないってのに。

「銀城はどこだァ!」

今日も銀城について聞きにくる奴がいる。こいつらは、トライアングラーなら銀城の居場所を知っていると短絡的に思い込んで、わざわざトライアングル部の部室までおしかけてくるのだ。しかも、なぜか喧嘩腰なので、話をちゃんと聞いてくれない。

今日の訪問者は赤川。5年7組のカスタネッター。重爆カスタネッツ赤川。両手両足両膝両肘に装着したカスタネットが、赤川が動く度にカタカタ鳴ってうるさい。原色の赤と青のツートンカラーの異常なジャケットの中にもカスタネットが仕込まれているらしく、ひたすらにうるさい。

他に誰もいないのでしょうがなく僕が答える。

「知らないって言ってるだろ」

「知らないわけあるか。お前、トライアングラーだろ!?

ほらね。こいつら、バカなんだ。

「あのな。トライアングラー同士の繋がりなんてないし、銀城なんてたしか5年も前の卒業生だろ? 知ってるわけないだろ」

「本当か? 庇ってるんじゃないのか?」

僕は赤川の言うことを無視して宿題の続きをやる。漢字の書き取り10ページ。この単純作業に意味あるの?とか思わないよう集中しなければこんな無意味な作業はできないくらい僕は賢い。なので無駄なことはなるべくしない。無駄無駄無駄なんだ。トライアングラーだって受験に有利じゃなければ絶対ならないし近づきたくもないのだ。

「銀城はどこだァ!」

とかくこの世には無駄ものが多い。

本日二人目の訪問者の俊敏タンバリン木村は、高速で反復横跳びをしながら入ってきた。正気を疑う。しっかりタンバリンは鳴らすのでパンパンシャラシャラうるさい。

「うるさい!」

とりあえず叫んでみたが、音は止まない。楽器使いにとって音を止めることは敗北を意味するからだ。くだらないが、そうなっているので仕方がない。無視無視、集中集中

カパン!というおかしな音がするので顔を上げると、案の定赤川カスタネット木村タンバリンで受け止めた音だった。

「ここ、部室だぞ!」という僕の声は、やかましいカスタネットタンバリンに遮られる。

「「銀城に会うのは俺だッ」」

狭いトライアングル部室で二人の楽闘が始まる。


「やめろって!」叫びながら、僕は机ごと移動する。巻き込まれてたまるか。

赤川が、カスタネットの蛇を展開して部屋中がカタカタという音で埋まる。蛇は無数に連なったカスタネットで、赤川の手の指揮棒の動きに合わせて、音を鳴らしながら赤川の周りを回転している。蛇は部室の棚やら机をがりがり削りながらも回転を緩めない。棚からトライアングルがいくつか落ちる。初見ではビビってしまう大技だが、木村は冷静に反復横跳びしながら赤川の手を見ていた。蛇が回転を十分に高めた頃合いで、赤川の手が木村に向かって振り下ろされる。その瞬間にタンバリン木村の手を離れた。赤川は意に介さずに蛇をタンバリンにぶつける。ちょうど赤川木村中央タンバリンは蛇に食い破られる……その瞬間にタンバリンが弾けた! タンバリンの周りの鈴が小手裏剣のように散開し、赤川を襲う。

我慢できたのはそこまでだった。

僕は腰の左右につけられたホルスターからトライアングルを抜く。机を蹴って、二人の間に飛び込み、両手のトライアングルダガータンバリン手裏剣を弾き落とす。

「そこまでだ」

無駄なんだ。試験以外の楽闘なんて。喧嘩スレスレで内申書にだってよくない。でも……。

「それ以上、ここを荒らすなら僕が相手になる」

両手のトライアングルで、赤川木村の喉元を狙う。十分な距離があっても、僕の威嚇は届いたようで、二人が動きを止めた。しかし音は止まない。僕も両腕を振動させ、手の甲にとりつけたビーターにより一定リズムトライアングルを鳴らす。狭い部屋にタンバリンカスタネットトライアングル、そして僕たちの心臓の鼓動が響く。

こんな無駄ものが、どうしてこんなにも楽しくて、僕を熱くさせるのか。

楽器を持って相手と向かい合う緊張感や、鍛え上げた技をぶつけ合うときの興奮はなにものにも代えがたい。そして戦いの中で奏でられる、世界で唯一の音楽。僕はこの、お互いの楽器がぶつかり合って作られる新しい音楽が好きだ。

僕は無駄しかないこの楽闘に憑りつかれてしまっている。


「何、笑ってんだ」

知らずにやけてしまっていたようだ。しかし、そういう赤川の顔も、木村の顔にも笑みが浮かんでいる。この頭の悪いやつらと僕は同類なのだ。僕は戦闘用の笑みをうかべて言う。

問答無用だ。かかってこ」

白井、いる?」

三人目の来訪者に部室のドアが開けられて、僕らは瞬時に動きを止めた。

顔を覗かせたのは5年2組の並原で、白井は僕だ。並原の後ろには黒いギターケースが見えて、さらにその後ろには退屈そうな女の子も見える。

「な、なに?」僕は両手を後ろに回しながら、答える。

「あれ、今取り込み中?」

「いや、別に

無言で赤川を見るが赤川視線をそらし、木村は下を向いている。

「……何もないけど」

「そっか。じゃあさ、今からマックいかね? 井路小の女子もくるんだけど……ま、ぶっちゃけ数合わせなんだわ。ははは。ごめん。でも白井彼女いなかったよな? いくだろ?」

「え、えっと、塾……あるから

「まじかよー。休んじゃえよ」

「そういうわけには……」

その後しどろもどろの言い訳をくりかえし、なんとか並原は帰っていった。僕はほっとため息をつく。そして情けなさに泣きたくなる。

女の子たちとは話したい。しかし、並原たちと一緒に行くということは、ギターとかドラムとかヴァイオリンなんかと一緒に並べられるわけで、それは僕にとって地獄に等しい。

楽器には格差がある。先生はそんなものはないというけれど、現実に現れるそれは、僕らの心をいとも簡単に切り裂いてしまう。

つの間にか音が止んでいた。楽闘は終わった。

「じゃ、帰るわ……」力なく赤川が言い、「俺も」と木村も続く。赤川はなるべくゆっくりカスタネットを鳴らさないように部室を出ていき、木村ふつうに歩いて帰っていった。

部屋に僕だけが残った。さっきの赤川カスタネット蛇のせいで部屋に散らばったトライアングルを片付けていく。そして、最後ひとつ、一際大きいトライアングルをぎゅっと握りしめる。そのトライアングルには名前が彫られている。

「無敵トライアングル・銀城」と。


無敵トライアングル銀城の伝説ひとつにこうある。

曰く、銀城は不細工なのに超可愛くて優しい彼女がいる。

僕らが、銀城に憧れるのは、おそらくこの一点だ。マイナー楽器使いで不細工なのに銀城はもてた。伝説によると、恋のトライアングルをいくつも作っていたらしい。

僕らがヒエラルキーの底辺から抜け出す方法を、銀城なら知っているのかもしれない。並原の彼女なんてパグみたいなもんだから、銀城の彼女の半分のパワーの彼女がいれば、僕らは何の憂いもなく楽闘に打ち込めるはずなんだ。何か一つ、人に負けないカードを持ってさえいれば……。僕らの考えは間違っている。でもルールがそうなっている限り、子供の僕はルールに則って戦うしかないんだ。


僕は伝説の男が使っていたトライアングルを棚にもどした。そして、また机に戻り、漢字の書き取りを再開する。

今日も僕は待つ。音のないトライアングル部室で、無敵トライアングル銀城が、5年ぶりに忘れ物を取りに来たりするような奇跡を。

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2012-05-01また都合のよいものを書いてしまった

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