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2012-02-07〆切って素晴らしい

からあげ探偵

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俺の名は狐井路アガル。鶏モモ肉のからあげで、探偵だ。

からあげが服を着て日本語をしゃべり、歩いたり走ったりして事件を解決する。それが俺だ。

何で、一食べ物である俺がスーツを着て、街を歩いているか?

料理は、調理されたときに生まれ、誰かに食べられることで死ぬ。それが正しい理だ。しかし、時折、その理から外れてしまった料理がある。どんなにシステムが進歩したって、そういう悲しいことが起きてしまうのが、人間の社会の限界だ。

そういう悲しみを和らげる為、物言わぬ料理たちの代理人として、俺はここにいる。

俺は、からあげ探偵。食べ物を粗末にするヤツを見つけ出すのが俺の仕事だ。



「狐井路さん。新しい放置事件が発生しました」

秘書キム・チーの声に、報告書をタイプする手が止まる。

「放置されていたのはロンリーマートの期間限定商品、阪神タイガース応援ヘルシー弁当。場所は、第三茂田稲井公園のゾウさん滑り台の頂上です」

「これで四件目だな。これ、同一犯だと思う?」

食品の放置事件がこれまでに3件起きている。鳥のからあげ放置事件、サンマの塩焼き放置事件、ユンケル黄帝液(マムシ配合)散布事件。最初のからあげの事件で俺は人間界に呼ばれたわけだが、それからたて続けに三件だ。

これらの食べ物たちは結局誰にも食べられることなく、その賞味期限を全うした。ふつう、こういう食べ物は、犬や猫、カラスといった都市型動物が食べてくれるものだが、何故かこの付近から動物達が姿を消しており、誰も食べてくれるものがなかったというわけだ。その動物消失も依頼がきているが手が回らないので調査員の柚子胡椒姉弟に丸投げしてある。

「どうでしょうか」キムはいい加減なことは言わない。

「事件の発生日時および発生場所が近いこと、そして放置された食べ物がどれもコンビニチェーン・ロンリーマートの商品だということは大きな類似点ですが……」

「ロンリーマート方面の調査はどうなってる?」

「マヨネ調査員から先ほど連絡がありました。まだ、これらの商品を買った人物の特定には至っていません。この辺りがロンリーマート過密地帯であることが原因です」

キムは印刷された地図を俺に渡した。その地図には、事件の発生した場所と、付近のロンリーマートの位置が示されている。うんざりする程のロンマ数。マヨネちゃんは苦労してるだろうな。

「したがって、ロンリーマートでの繋がりはあまり重要ではないかもしれません。ただ……」

これは関係ないと思いますが、とキムは前置きして、地図の事件発生位置の最短距離を線でつないだ。線の長さはどれも同じくらいだ。すると地図上に、船かお椀のような形が現れる。

「だから何だということですが」

しかし、俺は地図上に別の図形を思い描いていた。

「いや、さすがキムだな。そうか……えーと、放置されていた食べ物は……」

なるほど。謎がひとつ解けた。

「……だから何だということでもあるけど」

「何がわかったんですか」キムが俺に顔を寄せる。

俺は地図に新しい点を打ち、そして点を線でつなぐ。

「五芒星だよ」


夜、地図上に見つかった新しい点に移動しながら、隣のマヨネちゃんに説明する。

「五芒星は日本では陰陽師、安倍晴明が五行の象徴として使った。陰陽道だ。その元になった陰陽五行説、その元になった五行説では、万物の元素を、木、火、土、金、水の五つと定めてる。そこに五神ってのもあって、それぞれ青龍、朱雀、黄龍、白虎、玄武となる」

「で、それがどう関係あるんです?」

マヨネちゃんはコンビニを探索するので酷く疲れてるようで、奥底には理不尽な怒りのようなものが感じられる。俺は早口で説明する。

「つまり五芒星の頂点に置かれた食べ物は五神に対応しているんだ」

「は?」

「朱雀は鳥つながりでからあげ、阪神タイガース応援弁当は白虎、サンマは青くて細長いから青竜、ユンケル黄帝液(マムシ配合)は蛇と龍が似てるのと黄つながりで、黄龍……。次は何だろな。亀だからな」

「からあげさん。本気ですか?」

「さあ……とりあえず本人は本気だろうな」


新しい点は、駅の裏側にある噴水広場だった。街の繁華街は反対側なのでこちらに人影はない。

そして俺達は、その噴水広場の真ん中、噴水の上に鍋を置こうとしている男を発見した。

「現行犯逮捕ッ!」

俺は叫び、マヨネちゃんが一足先に男に向かって走った。

男はぎょっとした顔で動きを止める。そりゃ、そうだろう。黒いスーツを着たからあげと、マヨネーズが走ってくるんだから。

しかし、男は逃げなかった。代わりに叫んだ。

「お前らじゃないッ!」


俺たちはとりあえず噴水広場に腰掛けて男の話を聞いていた。男はうなだれている。

「で、五芒星から式神を呼び出そうとしたと」

「五芒星って魔法陣みたいなもんなんですか?」

マヨネちゃんはまだ納得がいってない。俺だってそうだ。

この男は受験生で、受験ノイローゼというやつなのか、試験日が近づくにつれて、ある妄想に取りつかれた。

曰く、「バレンタインにチョコレートをもらえば試験に合格する」

「でも、俺はチョコレートもらえないから……」男は悔しそうにつぶやいた。

「チョコレートの式神を呼び出そうとしたんだ」

「そんなもん、いるわけないでしょ」

「あんたらも同じようなもんだろ! 俺は去年見たんだ。チョコレートを配り歩くチョコレートを……そいつは自分が式神だと言った」

俺は知り合いリストを検索して、一人該当食べ物を見つける。

「千代子か……」

「狐井路さん、知り合いですか」

俺はうんざりしながら答える。

「自分のことを式神って呼ぶ同業者を知ってる。チョコレートだ。毎年、バレンタインに人間界にやってくる」

人は俺たちを精霊だとか、もったいないおばけ、とか言うが、特に決まった呼び方はない。俺は探偵と呼ぶことにしているが、式神だろうが妖精だろうが、派遣された食べ物の裁量ってことだ。

「し、知ってるのか」男が最後の希望にすがる。

「知ってるが、あんたの思うようなものじゃない。多分、そいつはチョコを配ってたんじゃない。回収してたんだよ。余って捨てられるチョコをな」

男は今度こそがっくりとうなだれた。


あとは報告書を提出すれば、事件は終了だ。この男には然るべき罰が下されるだろうが、それは俺らの仕事じゃない。一応、男の住所を確かめる為に家までついていく。

男の家は五芒星の中心にあった。そして、そこには意外な人物(食物)がいた。

「あ! アガルくん!」

「ゆ、柚子……詩央もか」

犬猫失踪事件を調査していた調査員、パーカーにジーパン姿の柚子と詩央が、男の家の玄関前に立っている。

「見てよ、これ」

柚子が嬉しそうに、透明のビニール袋に入れられた黒い塊を手渡した。

「何だ?」

「毒物」

柚子の後ろで、詩央が呟く。

「これがこの付近でたくさん見つかったの。そんで、この毒物が、この家の住人によって、犬とか猫に食べさせてたってのを何人も見てる」

「マジか……じゃあ、この付近の動物たちはその毒で……」

俺とマヨネちゃんは顔を見合わせて、次に連れてきた男を見る。男は視線を感じて、あわてて首を振った。

「死んだわけじゃないみたいよ。ただ、これを見せるとものすごい勢いで逃げてくね」「経験……あるいは本能……」後ろで詩央が呟く。

「ここまで調査したあたしたち、どう? えらい?」

そして、唐突に最後の登場人物が家から現れる。


「お兄ちゃん!」

ツインテールのその女の子は俺たちを無視して、後ろの男に心配そうに近づくと、思いっきり怒鳴りつけた。

「どこ行ってたのよ! こんな遅くに! 試験もうすぐなんでしょ! 風邪引いたらどうするの。ほんと、バカなんだから」

「お前、受験生にバカとか言うなよ……」

男は咄嗟に反論するが、声に力がない。そして、女の子に引きずられるまま、男は家に連れ戻されていく。

「ちょ、ちょっと待った!」

柚子が、それをなんとか押しとどめ、女の子にビニール袋を突きつける。

「これ、あなたが作ったでしょう!」

女の子はそれを見ると、表情を一変させると、あわててビニール袋ごと柚子から奪いとった。

そして、くるりとふりかえり、そのまま家の中に入っていった。あっという間の出来事だった。「さっきの何だったんだ?」「知らないわよ!」という兄妹の声が小さく聞こえた。

その間、俺たちは、呆気にとられ、ただ立ち尽くしていた。


「そ……そんなの、ないよ!」

柚子がわれにかえり、俺に泣きついた。さっきまでの勝ち誇った笑みが消えている。

何だかわからないが勢いだけで相手に敗北感をあたえられる人種がいる。さっきの妹はその種の人間だ。

「さっきの黒いの、もっとあるか?」

ちょっと泣き出した柚子をなだめつつ、俺は後ろの詩央に聞いた。詩央がふところから別のビニール袋を取り出して、俺に渡した。

俺はそれを袋から取り出して眺めてみる。やっぱりそうだ。これは、

「チョコレートだ」

「え? チョコ?」

「そのなり損ないというか……なんか色々入ってるな。毛か? いや虫みたいにも見える……」

「そんなことより! どうするんですか、犯人二人が家に立てこもっちゃいましたよ!」

マヨネちゃんは疲労がピークに達しているのか、完全に怒っている。

「そうだな。帰ろう」

「帰る!?」

不満そうな声と嬉しそうな声がハモる。

とりあえず涙目で睨みつける柚子の頭に手を置きながら言った。

「まず食べ物放置事件の犯人の方は終了。これ以上の犯行はない。そして、毒物……散布?の事件も明日で終わることがわかった」

「明日?」

「バレンタインデーだ。灯台下暗しだな。あの男。奥手な兄とツンデレ妹……王道じゃないか」

ここにきて、彼女たちにも全体像が見えたようだ。

「さて、報告書は明日書くとして、今夜は飲もうか。キムちゃん寝たかな」

「やった! 打ち上げだね。さっき電話した時、事務所にいたからまだ寝てないでしょー」

さっき泣いていた柚子がもう笑っている。

やれやれ、とりあえず一件落着か。あの受験生は、もう一山ありそうだが、それも罰のうちだ。俺はチョコレートのなり損ないをもう一度眺めてから、袋に戻し、帰路についた。


俺は時折、思う。

カツとカレーを合わせてカツカレーを作った人間は何を考えていたんだろうか。

神が食物を作り、悪魔が調味料を作る。そして、頭のおかしい人間がそれらを合わせて新しい食べ物を、俺たちを作るんじゃないだろうか。

本気で、五芒星からチョコレートを作り出そうとしていたあの男は、カツカレーの領域に近づいていたのかもしれない。

今日は月が明るい。俺たちは、それに照らされながら、人間界の夜を歩く。

keiseiryokukeiseiryoku2012/02/25 21:21《千代子》でチョコレート吹いたんですけどw

sasuke8sasuke82012/02/26 07:16ありがとうございます。 身も蓋もない名前って素敵ですよね。

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2009-07-07オチを想像しない勇気

七タ探偵

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七夕探偵こと姫織星彦は一年に一度しか依頼をうけない。だがその日に受ける依頼は百件以上にのぼる。

その日、事務所には依頼人が訪れ続け、電話が鳴りやむことはない。

それでも、夕方になって依頼の数が落ち着いてきたとき、やっと七夕探偵の仕事が始まる。

まず七夕探偵は古くからの助手に命じる。

「牛車くん。紙と筆を」

「はい、先生」

そして、探偵は3時間かけて、助手の持ってきた短冊に筆を走らせていく。短冊の数は依頼の数と同じ。その内容は概ね次のような内容である。

「犯人がつかまりますように」


短冊を書き終えた後、七夕探偵は近所の子供達と共に事務所のあるビル屋上で、竹に短冊をかざる。事務所のあるビルの敷地のほぼ中央に生えた竹は、ビルの一階から五階まで貫通し、屋上に突き出していて、周辺の名物となっていた。晴れていれば、竹の先に天の川を眺めながら、探偵は子供達に流しそうめんを振る舞う。流しそうめんを食べた子供の中で資質のある子供には神聖なる印がその身に顕われる。印とはそれぞれタウラス、タイ、タラコ、タヌキ、タカナ、タバコ、タミフルの形をとり、それらを身に付けた神聖なる戦士は人知を超えた活躍で、探偵が受けた100件以上の事件を一夜で片付けるという。七つのタのつく動植薬物の戦士を使う探偵は七タ探偵と呼ばれ、あまりに都合の良い展開にタナボタ探偵と呼ばれることもあったりする。

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2008-01-04あけましてくれたっていいじゃない

魔法少女探偵

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今日も今日とて人は死ぬ。

若い刑事は、重苦しい顔で死体を見つめる男に声をかけた。

「警部、やはり殺しでしょうか」

「これは迷宮入りだな……」

「え、もうですか」

敏腕警部の弱音は風に乗り、娘である南亜沙子のところに届く。

亜沙子は大好きなプリンを食べながら、推理小説を読んでいたが、父の苦渋に歪んだ声と顔を受信して、立ち上がる。

「たっいへーん! お父さん、待ってて!」

亜沙子は慌ててプリンを流し込むと、二階に上がり、魔法のクローゼットを開ける。そこには魔法のインバネスコート風ワンピースと、それと同じ柄の帽子が入っている。

「へーん、しー!」

南亜沙子は魔法少女である。魔法の国からやってきた不思議生物の密室殺人事件を解決した事から、魔法の国の不思議生物から魔法少女探偵の力を授かったのだ。

「説明サンキュっ。地の文さん! おかげで変身できたよー!」

いつのまにか、魔法少女の手には巨大なパイプ型ステッキが握られている。

「よーし、お父さんのところにワープ!」

亜沙子がステッキを振ると、ステッキの先端から煙が噴き出す。煙は亜沙子の周りを取り囲んだ。小さな少女は煙に撒かれ、押し上げられていく。「ああ、頭がスッキリするー!」そして、煙が晴れたとき、少女の姿はそこにはなかった。


「よし、帰るぞ」

「捜査しましょうよ、警部!」

「無駄だ。不思議のラビリンスだよ。1000回捜査しても無理さ」

若い刑事と父が揉めている現場上空に、亜沙子は浮かんでいる。

「いけない。お父さんが困ってる!」

亜沙子は、ステッキを振る。

「マジカル、カルイシ、イシカワ、ゴエモーン! 声なきものよ、犯人を教えて!」

ステッキから煙が噴出し、現場を包み込む。

「な、なんだこれは」

「け、警部!」

「私、犯人を見ました」

声がした。その場にいる誰とも違う声。

「だ、誰だ」

「犯人は、頬に傷を持ち、前歯が一本差し歯の男。眉が薄く、頭髪も薄い。声は低く、九州の訛りを感じました」

声はべらべらと犯人の特徴を述べていく。そして、若い刑事は見た。新しく、現れた男を。被害者の死体が起きて喋っていた。


現場が煙に撒かれた事で、本当の怪異は若い刑事以外は目撃することはなかった。ただし、周囲が見えなくなる程の煙に現場にいた人間は軽いパニックに陥ったが、煙を吸った人間は警部と若い刑事を除いて直ぐに気を失った為、大事にはならなかった。

「よーし、仕上げね! マジカル・カルガモ・ガモウヒ・ロシアン・ルーレット! 犯人になぁーれ!」

そして、魔法少女はリズミカルにステッキを振った。また別の煙が現場を覆い、その煙が晴れた時、警部の前には、頬に傷を持ち、前歯が一本差し歯で、眉が薄く、頭髪も薄い男が現れた。男は、低い声で言った。

「あれ、警部。どげんかしたとですか?」


亜沙子は男が逮捕されるのにこにこして見届ける。亜沙子は父が犯人に手錠をかける瞬間が好きだった。

「あの犯人の人、いい顔するなぁ……」

「亜沙子ちゃん!」

空中に浮かぶ少女に声をかけるのは、魔法の国のオランウータンだ。

「エド! どうしたの?」

「お母さんが、食べかけのプリンを見つけちゃったよ」

「いっけなーい! お母さんの分食べたのばれちゃうー!」

亜沙子は慌ててステッキを振る。無敵の魔法少女探偵は、とにかく忙しい。

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2007-09-11因果の螺旋

因果探偵

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風が吹けば、人は死ぬのだ。



「あいつは死んで、当然だったんだ! そういう運命だったんだ! 俺は、運命に従っただけだ!」

喚き暴れる犯人を、警官が取り押さえる。犯人を突き止めた探偵は、その光景を暗い面持ちで見つめていた。刑事探偵に近づき、声をかけた。

「ご協力感謝します」

「いいえ、まだです」

「え?」

犯人はもう一人います」

探偵言葉に、犯人逮捕でほっとしていた広間に再び緊張が走る。

因果さん、それは」

探偵は、苦しそうに顔を歪め、刑事を見た。

「間接的に犯人に犯行を行なわせた人間がいます。証拠もあります。ですが、今の法では、その人間犯人にできない。殺意を立証できない限り、犯人を裁けない!」

探偵が黙り、そして、その場を静寂が支配した。

「聞きましょう。探偵さん」

意外にも、静寂を破ったのは被害者の妻だった。夫が殺され、息子がその犯人として逮捕されながらも、この女性は、この場にいる誰よりも落ち着いているように見えた。

探偵は、しばらく彼女を見つめた後、静かに語り始めた。

真犯人がしたのは、たったひとつだけです。彼、いや彼女自動販売機で缶ジュースを買った。そしてそこに、30円のお釣を置き忘れた。それだけで、今回の哀しい殺人は起こってしまったのです」

探偵言葉をきる。だが、誰も口を挟まない。誰もが探偵言葉を待っている。

自動販売機に残された30円はどうなったか? これは近所の小学生・菊池直哉君(9歳)が下校途中に拾いました。彼の趣味自動販売機等の釣銭口をあさることです。しかし真面目な彼は警察に届けようとした。だが、しかしそれは叶わなかった。彼はカツアゲされます。カツアゲしたのは近藤健(18歳)。菊池君が手で弄んでいた30円の小銭を冗談半分で奪い、近藤は川に投げ捨てた。しかし30円が投げ捨てられたその川には、泣きながら川に落ちた財布を捜す少女がひとりいました。名前は楠木ほのか(16歳)。彼女は、コケでぬめった川底の10円玉を踏み、転倒。パニックになった彼女は膝上程の川で溺れかけます。彼女を助けたのが、丁度通りかかった木下玩具の営業マン・真下雄介(28歳)。一回り離れた彼女と彼はやがて恋に落ちました。実る恋あれば破れる恋あり。佐藤圭(17歳)は密かに幼馴染である楠木ほのかに恋心を抱いていました。そう、彼はこの事件の実行犯です。しかし、佐藤圭はその恋心を、彼女幸せを想い、封印します。しかし、彼女の思いを寄せていたのは彼だけではなかったのです。それが、佐藤圭の父親であり、事件の被害者である佐藤盛吉(53歳)。佐藤盛吉は楠木ほのかの恋人存在を知ると、怒り狂いました。そして、我を忘れた彼が楠木ほのかを呼び出し暴行しようとした所を、佐藤圭が見つけて、今回の事件が起こってしまったのです」

探偵の説明が終った。しかし、誰も喋ることができない。何を言えばいいのかわからない。

「全ての人間から証言はとってあります。10円玉も回収しています。しかし」

「それじゃあ、犯人は捕まえられない」

言葉をついだのは被害者の妻・佐藤頼子

探偵彼女を睨みつけ、そして懇願するように言った。

「お願いです。自首してください」

「おことわり」

佐藤頼子探偵を睨み付け、そして笑った。佐藤頼子は、踵を返し、部屋を出て行く。

「だって、私は犯人じゃないもの」

あなたの言う通りなら、因果の元はあの人だもの。彼女の呟きは探偵達には聞こえない。


佐藤頼子が部屋を出て行き、刑事の指示で、佐藤圭が連行される。

佐藤頼子の出て行った方を見つめ続ける探偵。見かねて刑事は声をかける。

律子ちゃん」

「おじさん、私は、これほど、自らの力の無さを呪ったことはありません」

「いや、君はよくやったよ。それはむしろ我々の……いや誰のせいでもない」

「いえ、私は、私は」

刑事は、姪っ子の肩に手を置く。犯人は捕まったのだ。しかし、忌わしい事件に終止符を打った探偵自身が、小さく震えて泣いている。

「お互い因果な稼業ってことか……」

若き探偵因果律子のこの涙が、やがて起こる未曾有の大事件の解決に繋がる事を二人はまだ知らない。

刑事の呟きは風に消えた。いや、その呟きは風に乗って、やがて、次の死者を出すことになるのだが、それはまた別の因果

sasuke8sasuke82007/09/12 23:22ブックマークのコメントにもありましたが、既に探偵アカシック・レコードは探偵百傑に入ってました……。(しかも読んでた)

http://yarukimedesu.blog19.fc2.com/blog-entry-1109.html

二人の良く似た探偵が、いずれ出会うのかもしれませんねえ……。とだけ言っておきましょうか……。

2007-09-01しーんぱいじゃないからね、きみのことなど

探偵探偵

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探偵は、依頼人の話を聞き、現場を一通り見て、言った。

密室。右手首を切り取られ、溺死した被害者。ダイイングメッセージ『あかいうさぎ』。荒らされた室内。荒らされていない財布。目撃された黒いサングラスの女。遅れて響いた悲鳴非喫煙者被害者の持つライター。服についたカレーの染み……わかりました」

「おお!」

カレー探偵・福神漬楽京君が適任でしょう。状況は私から伝えておきます。報酬は彼と相談してください」

「さすがですね」

「いえ。解決するといいですね、事件」

「はい」


探偵探偵の鋭い観察眼、深い洞察力は、真実に至るであろう探偵推理する。彼の持つ手広いネットワークにより、迷宮入り手前の奇矯な事件と、在野の名探偵達を繋ぐ貴重な存在となっている。「探偵探偵」は彼が資格化し、職業名となっているが、今でも彼を敬意を込めて、探偵探偵と呼ぶ者は多い。

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