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石麻二芯の文章読本 このページをアンテナに追加

2012-04-11

古今東西その2

| 06:09 | 古今東西その2 - 石麻二芯の文章読本 を含むブックマーク はてなブックマーク - 古今東西その2 - 石麻二芯の文章読本

「古今ー!」

安い作りの事務所の扉を壊さんばかりの勢いでちくわぶが飛び込んで来た。

さっきの電話から30分ってとこか、ラップタイムは短縮されつつあるな。

「おはよー!」

「ああ、おはようおはよう」

「きょうはどこいくの?」

「お外だよお外」

「おそとなんてあたりまえじゃん」

「そうだよ、当たり前だよ当たり前。いい子だからちょっと待ってろ」

まったく、これだからガキは困る。

人が腰振ってようがお構いなしだ。

俺の杜撰な対応にはガキなりに何かしら感じるものがあったようで、それなら、と、後ろから俺に刺されている女の顔を覗き込んだ。

「おはよー!」

「ぁぁあああ!こんなの、しら、知らない!あ、だめ、っはあ!中、全部めくれちゃう!」

「なにいってるの? わかんない!」

そうだよ、ちくわぶ、それでいい。お前はまだまだがきんちょだ。体ばっかり高校生な5歳児なんてそんなもんだ。

「おむかえだよおむかえ!古今ってばあ!」

女の応答にも満足は行かなかったようで、鈴の音が鳴るような声で、ちくわぶが言う。

「またせると、メーターまわしちゃうよ!」

「うるせえ、今こいつにくれてやるとこだから待ってろ。どこに欲しいんだ、言ってみろ。まあいいや、中に出すぞ」


そろばん塾は、駅に向かう途中の道の、駄菓子屋の隣にあった。

「とーちゃーく!」

ブレーキを軋ませつつ、ちくわぶは自転車を停めた。

俺は後ろの荷台から軽やかに降りて、

「ちくわぶ、てめーは俺の何だ」

「ちくわぶは古今のあしだよ」

「そーだな、上出来だ、ちくわぶ。おめーは俺の足だから、俺が右に曲がれっつったら右に曲がれ」

「おっけー!」

分かってねえから苦労するんだっつーの。

結局たっぷり大回り、10分は遅刻した。

右も左も分からねえってのは、正にこの事だってか。

「古今!うんちん!」

「わーってるよ」

ちくわぶの唇に唇を重ねる。最近では生意気に舌を突っ込んでくる事を覚えやがった。

たっぷり3分間の唾液の交換としゃれこんで、さあここからはお仕事だ。

「お前、日焼け止めとか塗ってねえだろ。まっすぐ帰れよ」

「でもそれじゃあぶつか」

「曲がらないといけない時は曲がれ」

「おっけー!」


そろばん塾へは外階段を昇るらしい。

見上げれば扉が見える。

と、ここで強烈な既視感。酔いのせいにしたいところだが。

そういう事なのか?

思い出すね。ああ、思い出す。

錆だらけの階段を昇る足取りは急に重い。

「それ」以外、銀色の何の意匠の欠片もないドアを開ける。

止しゃあいいのに、そのまま2,3歩中に入ったが運の尽き。

さながら豚の足首専門店。

ひどい臭いだ。

俺はとりあえず部屋を出て、外階段から身を乗り出し、口から綺麗な虹を描いた。

ゲロまみれになったちくわぶが相変わらず瞬き一つせずに俺を見ていた。

「古今、ぐあいわるいの?」

「ちくわぶ、てめーは帰って寝てろ。おめーはいずれ俺専用の後背位型性欲処理機になるんだ。いいな。その為に帰って寝てろ。眠くなくってもテレビは見るな。特にNHKはNGだ」

「わかったー」

ゲロまみれの顔でゲロまみれのセーラー服のちくわぶは、

「しゅっぱつしんこー」

叫んで帰っていった。

さて。

奇異の目でこちらを見ているゲロまみれの駄菓子屋のばあさんを放っといて、そろばん塾、開け放たれたその扉。貼りつけられた「それ」を見る。

菱形の赤い紙、金の縁取りと中央から放射状に引かれた金の線。

中央に金色の逆さになった『屠』の字。

既視感の正体。

キチガイのショータイム。

「……生きてたかー」

部屋の中に戻る。おそらくは大人が4人、ぐらい、5人? やっぱり4人、多分、そのくらい。

天井も床も最悪の趣味で飾られている。どこもかしこもぐちゃぐちゃの元・人体。

さらに入ると、奥にもう一つ部屋。扉を開け入ると、胴体部分だけがこっち向きに立ててある。

身体つきから察するに、同業者、だったのだろう。

気は進まないがしょうがない。

家探しをして見つけたハサミを、胸に突き刺す。

途中、やりにくくてしょうがないので胴体を寝かせる。

手を汚したくはないので、これまた見つけたゴム手袋を嵌める。

肋骨を三本ほど抜くと中にスペースがあって、そこにリボンをかけた四角い箱が見えた。

箱を取り出す。リボンをほどく。開けると中にはぽち袋。

口を開けて逆さにすると、紙切れ。

『元気してたかい?』

ゴゥンとエアコンが鳴る。わざわざ暖房にしてやがる。

「あー……マジでかー……」

Yシャツのポケットからセブンスターを取り出し、ズボンのポケットを探るがライターが無い。

「使うかい?」

「あ、すいませんね、どうも」

火を点け、背後から差し出された手にライターを返す。

煙を吐き出し振り向く。

ご丁寧に扉は閉めてあった。

俺の背中。汗が一筋、つーっと垂れたのは内緒だ。


どうせ他には何も残しちゃいないはずだ。

そう思い、俺は階段を降りる。

途中一段踏み外して危うく滑り台と洒落込む所だった。

隠しても仕方ない。俺は少し焦っている。

一度事務所に戻らなければいけない。

あー。ちくわぶは帰してしまった。

「歩きかー」

俺は血と肉になった元・駄菓子屋のばあさんを通り過ぎつつ独りごちた。

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AliciaAlicia 2012/07/21 20:55 Holy cncoise data batman. Lol!

mivnmktdmivnmktd 2012/07/22 18:57 PtZso4 <a href="http://rcxebsllbbqy.com/">rcxebsllbbqy</a>

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