病むに病まれてビラの裏 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012/05/28 (月)自己投影型ではない…かつてアレフガルドを統べた存在が言う。

人!物!金!人!物!金!人!物!金!(の推敲前と推敲後)

| 07:54 | 人!物!金!人!物!金!人!物!金!(の推敲前と推敲後) - 病むに病まれてビラの裏 を含むブックマーク はてなブックマーク - 人!物!金!人!物!金!人!物!金!(の推敲前と推敲後) - 病むに病まれてビラの裏 人!物!金!人!物!金!人!物!金!(の推敲前と推敲後) - 病むに病まれてビラの裏 のブックマークコメント

ルール
悪魔が3つの願いを適えてくれます。3つの願いがかなうと、魂を取られて死んでしまいます。死後も地獄で永遠の責め苦に苛まれます。
禁則事項
・1)不老不死の願いは魂が取れないので却下です。
・2)願い事を増やすのもNGです。
【人力検索かきつばた杯】 テーマ:3つの願い 創作文章(ショー.. - 人力検索はてな


人!物!金!人!物!金!人!物!金!

 男は考えていた。昔読んだ、何かの漫画。電車がホームに入ってくる音。「ごとんごとん」が、ある時、「死のう死のう」と聞こえる時が来る。そうなると、電車に乗る時、駅のプラットホームに立つと、もうその事しか考えられなくなり、そして、電車が入ってくると、本当に「死のう死のう」と聞こえてくる。

 男は電車通勤ではなかったので、そのように思うことは、幸いにもなかったのだが、例えば、ビルの屋上に立った時、そこから転落することを想像するように。想像するその先。自分が落ちて死ぬ姿。落ちて死んだら楽になれる、という思いが湧き上がってくる今の状況は、自分にとってプラットホームが、ビルの屋上だったのじゃないか、と思えてくる。もしかしたら、屋根裏部屋で、父が古本屋で買ってきた、その本を読んだことが、今に通じているのかも知れない。

 男は死にたい、と思っていた。ここから落ちて死ねたら、どんだけ楽だろうか。だけど、その行為は、身勝手な行為であり、もしかしたら、統計的には男が嫌いな、苦手なあの血液型が多いのじゃないか?と思えてくる。そんな考えは、言い訳でしかなく、自分勝手であろうが、何であろうが、飛べないのは自分であり、その弱さのおかげで、男は死ねないのである。

 今日も死ぬことはできなかった。憂鬱な職場、家に帰ろうと思った時、雲が太陽を隠し、屋上は、そのビルの周囲は影の世界に入った。気がつけば、この会社では見た事のない、一人の男が立っていた。


 男は、男に軽く会釈をして立ち去ろうとすると、後から現れた男に呼び止められた。はい、と立ち止まると、男は、三つの願いを叶えてやる、と言う。何をバカな、と思ったが、男は真剣だ。さらに、ルールを教えてくれた。曰く、悪魔が3つの願いを適えてくれます。3つの願いがかなうと、魂を取られて死んでしまいます。死後も地獄で永遠の責め苦に苛まれます、とのことだ。その時だけ丁寧語になるのは、なんだか不思議な感じだった。

 男は、バカバカしいと思ったのだが、何故だか、その男には、心を許せる部分があり、自分の今の状況を話した。話してみれば、その殆どは、金、お金、マネーで解決できることだと分かった。だから、ほんの冗談で、男は、だったら、1億円を下さい、と言い。その場を後にした。

 家に帰ると、彼の伴侶、結婚相手、豚によく似た女が大慌てで、玄関にやってきた。思えば、この女と顔をあわせたのは、どれくらいぶりだろうか。不快な音を発する、その声を解読してみると、今日、銀行に記帳行くと、預金残高が1億円増えていた、とのことだった。そんなバカな、と思い手帳を覗き込むと、見た事ない桁が並んでいた。その晩は、久しぶりにセックスをすることになった。



 それから三ヶ月経ち、男は、やはりビルの屋上にいた。どうしてあの時、10億円と言わなかったのか?と最初一ヶ月くらいは後悔したものだが、1億円という金額は、生活を逆転させるには十分すぎる金額だった。もう働かなくても良い、とは言えない金額。これから子どもが生まれたとしたら、それにかかる費用などを考えると、仕事は続ける必要があった。しかし、貯金という後ろ盾、その金額があると、少しは、いや、大いに気持ちが前向きになった。そう思っていた。

 だがしかし、それでも、男はビルから飛び降りて、想像できる範囲でぐちゃぐちゃに潰れている自分の姿を思い浮かべていた。はっと気付くと、すぐ後、背後に、あの男が立っていた。男は、おじぎをして、そして、1億円のお礼を言った。男は、幸せになれましたか、と聞いた。その質問に男は答えられなかった。

 この男の前に立つと、自分の心を洗いざらい話してしまいたくなる。もしかしたら、それは、男が持つ魔力のようなものなのかも知れない。男は言葉になる限り、男に伝えた。それは、お金を得たことで見えてきた、彼の心の部分、精神の話だった。人と一緒にいるとそれだけで蝕まれるものがある、自分は長く一緒に誰かといると最終的に嫌われる、誰かが自分の領域、例えば、敷地に入られるだけで、心が削りとられる。マンションの共用部分の使い方。電車の乗り方、電車の降り方、電車の中の過ごし方。団体競技の経験がある人間は、みんな嫌いだったし、運動をする女も嫌いだった。わざわざ帰宅部を特別扱いするCMも嫌いだった。独り言を言う人間は、男にとって全て敵だった。学歴でチーム訳をするクイズ番組に疑問を持ちながら、差別的な思考が支配している自分が嫌いだった。そのようなことをとめどなく話した最後に、自分が死ねば一番だと思うのだけど、死ねない自分がいる。なんとかしてくれないか、と枯れた声で、男に行った。

 男は1億円をくれた時と同じように、なにやら呪文のようなことを呟き、そして、なんとかしましたよ、と言うと、屋上から去った。


 自分の心の内を話したことで、男は心がズタズタになったが、やがて、それらは、心の断片は、再び一つに戻り、ふらふらと、自分の席のあるフロアー、職場に戻った。誰もいなかった。いつもなら、お昼休みであっても、おかまいなしにかかってくる電話も、一つもならなかった。男は、自分の妻に電話をかけてみた。当然、通話になることはなかった。



 男はふらふらと家に帰った。家につくまで誰とも会わなかった。ふらふらと、今度はマンションの屋上に昇っていくと、そこには、あの男がいた。事情は全て分かっている。男は、なんとかしてくれ、と言った。男は、呪文を呟いた。男は魂を取られて死んだ。死後も地獄で永遠に責め苦を味わうらしい。結果として、あの男だけが消えた世界に、男は残り。ルールだから仕方がない、ルールだから仕方がない、と呟き続けていた。


なかがき。

 書き終えた時点で230文字くらい多かった。そのために、色々な表現を削除する方向で推敲した。結末の部分は、全く文字数が足りなかったけど、男の周囲から、小学校から、中学、高校、大学、社会人…との間に関わった人数430人が世界から消えた…みたいな具体性持たせようと思ったけど、文字数の関係で、世の中の人間が全員消えたことにした。

 以下から、推敲し、投稿したバージョン。


人!物!金!人!物!金!人!物!金!

 電車がホームに入ってくる音。「ごとんごとん」が、「死のう死のう」と聞こえる時が来る。そうなると、電車に乗る時、もうその事しか考えられなくなる。電車通勤ではなかったのだが、例えば、ビルの屋上に立った時、そこから転落することを想像するように。自分が落ちて死ぬ姿。落ちて死んだら楽になれる。プラットホームが、ビルの屋上だったのじゃないか、と思えてくる。

 ここから落ちて死ねたら、どんだけ楽だろうか。だけど、それは身勝手な行為であり、そんな考えは、言い訳でしかなく、自分勝手であろうが、何であろうが、飛べないのは自分であり、その弱さのおかげで、男は死ねないのである。

 今日も死ぬことはできなかった。憂鬱な職場、家に帰ろうと思った時、雲が太陽を隠し、屋上は、そのビルの周囲は影の世界に入った。その中に一人の男が立っていた。初めてみる顔だった。


 男は、軽く会釈をして立ち去ろうとすると、後から現れた男に呼び止められた。立ち止まると、男は、三つの願いを叶えてやる、と言う。男を見る。男は本気らしい。さらに、ルールを教えてくれた。曰く、悪魔が3つの願いを適えてくれます。3つの願いがかなうと、魂を取られて死んでしまいます。死後も地獄で永遠の責め苦に苛まれます、とのことだ。急に事務的になるのは、不思議な感じだった。

 男は、バカバカしいと思いながら、何故か、その男には心を許せた。悩みを話した。話してみれば、その殆どは、金、お金、マネーで解決できることだと分かった。ほんの冗談で、男は、だったら、1億円を下さい、と言った。男は呪文のような言葉を呟き、屋上から去っていった。

 家に帰ると、彼の伴侶、結婚相手の女が大慌てで、玄関にやってきた。思えば、この女と顔をあわせたのは、どれくらいぶりだろうか。不快な音、声を解読してみると、銀行に記帳行くと、預金残高が1億円増えていた、とのことだった。手帳を覗き込むと、見た事ない数のゼロが並んでいた。その晩は、久しぶりに夫婦の営みを2回した。



 それから三ヶ月経ち、男は、やはりビルの屋上にいた。どうしてあの時、10億円と言わなかったのか?と最初一ヶ月くらいは後悔したものだが、1億円という金額は、生活を逆転させるには十分すぎる金額だった。もう働かなくても良い、とは言えない金額。これから子どもが生まれたとしたら、それにかかる費用などを考えると、仕事は続ける必要があった。しかし、貯金という後ろ盾、その金額があると、少しは、いや、大いに気持ちが前向きになった。そう思っていた。

 だがしかし、それでも、男はビルから飛び降りて、想像できる範囲でぐちゃぐちゃに潰れている自分の姿を思い浮かべていた。はっと気付くと、すぐ後ろ、背後に、あの男が立っていた。男は、おじぎをして、そして、1億円のお礼を言った。男は、幸せになれましたか、と聞いた。その質問に男は答えられなかった。

 この男の前に立つと、自分の心を洗いざらい話してしまいたくなる。もしかしたら、それは、男が持つ魔力のようなものなのかも知れない。男は言葉になる限り、男に伝えた。それは、お金を得たことで見えてきた、彼の心の部分、精神の話だった。人と一緒にいるとそれだけで蝕まれるものがある、自分は長く一緒に誰かといると最終的に嫌われる、誰かが自分の領域、例えば、敷地に入られるだけで、心が削りとられる。マンションの共用部分の使い方。電車の乗り方、電車の降り方、電車の中の過ごし方。団体競技の経験がある人間は、みんな嫌いだったし、運動をする女も嫌いだった。わざわざ帰宅部を特別扱いするCMも嫌いだった。独り言を言う人間は、男にとって全て敵だった。学歴でチーム分けをするクイズ番組に疑問を持ちながら、差別的な思考が支配している自分が嫌いだった。そのようなことをとめどなく話した最後に、自分が死ねば一番だと思うのだけど、死ねない自分がいる。なんとかしてくれないか、と枯れた声で、男に行った。

 男は1億円をくれた時と同じように、呪文のようなことを呟き、そして、なんとかしましたよ、と言うと、屋上から去った。


 しばらく呆然として、ふらふらと、職場に戻った。誰もいなかった。いつもなら、お昼休みであっても、おかまいなしにかかってくる電話も、一つもならなかった。男は、自分の妻に電話をかけてみた。通話になることはなかった。



 男はふらふらと家に帰った。家につくまで誰とも会わなかった。ふらふらと、今度はマンションの屋上に昇っていくと、そこには、あの男がいた。男は、なんとかしてくれ、と言った。男は、呪文を呟いた。男は魂を取られて死んだ。死後も地獄で永遠に責め苦を味わうらしい。結果として、あの男だけが世界から消えた。マンションの屋上で、男は、ルールだから仕方がない、ルールだから仕方がない、と呟き続けた。


あとがき。

 大筋のストーリーは変わらないのだけど、男の奥さんに関する描写、醜さの部分がカットされている。最初書いた時に、豚のような女だった女は、その説明が削除された後も、豚のような女なのか、気になる部分。

 説明がなくなれば別の女になるような気もするが、読んだ人がどのように感じたかも、気になる。テレビセックス。