病むに病まれてビラの裏 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2011/01/08 (土)ワシのKAGEROUは108式まであるぞ。

KAGEROU01(投げっぱなし)

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  • 主人公は40代男性。
  • 親父ギャグが沢山出てくる。
  • 主人公が自殺しようとしたら、臓器売買(?)の組織が助ける。
  • 主人公が命の大切さを知る。
  • 世にも奇妙な物語っぽい(らしい)。

読まないで書くKAGEROU



 なんでも、この世界で起きている事は、宇宙の奥の方で起きた事が、投影されているだけって聞いた事がある。詳しい事は忘れちゃったけど、だったら、今、こう考えている気持ちは、どこに投影されているのだろうか。もしかしたら、気持ち…意識なんてのは、なんとなく自分が『ある』って思っているだけで、どこにもないのかも知れないな。もしかしたら、そう考えている自分も、どこにもいないのかも知れない。そう考えると、少しは楽かな。まあ、楽になっても意味なんてないのかも知れないけど。

 なんでこんな事を考えているのか分からないけど、そういう気持ちなんだろう。か。ずっと会社のために働いてきた。会社のために生きてきた。いや、本当は、会社の事なんてどうでも良かったのかも知れないけど、それしかする事がなかったのかも知れない。仕事頑張ったら、褒められるし、お金貰えるし。だけど、実体がなかったのかも知れない。会社の事で褒められるのは、褒められるだけ、ちょっと世の中が、景気が、何かが変われば、そこに積み重ねた思いなんてのは、簡単に薙ぎ払われる。私は、会社を愛してなかったが、会社も私の事を愛してなかったみたいだ。実体の分からない何かに、何かを、重ねて、かけて、日が陰ったら、何も残らない。いや、一つ残った、このモヤモヤは、陽炎か。

 そう言えば、会社の屋上に来たのって、初めてだな。うう風が冷たい。屋上風に吹かれるってこういう事か。なんちゃって。この柵を越えて、えいっと飛び降りたら、オレの人生も終る。落ちたら、やっぱり、痛いのだろうか。痛みなんて感じる暇はないのかも知れない。感じる暇があったとしても、感じいても仕方がないし、よく分からないうちに、意識がなくなるのだろうな。考えても仕方がないか。今一歩勇気が出ない気がするけど、こういう時の事は、前々から考えていた。きっと、叫べばいい。そうすると、心の中で一歩踏み出す事が出来るし、叫んだ手前、飛びださずにいられない気持ちになるだろう。さぁ、叫ぼう。そして、このツマラナイ人生を終らせよう。40数年生きてきて、丁度、飽きてきたところだ。


「やめなさい!命を粗末にするのは!私は臓器売買をしている組織の者だ!」

「!」

「さあ、こっちに来て。自殺なんてするもんじゃあない。」


 …臓器売買をしている組織の者だ、と名乗った男は、臓器売買をしている組織に属している者らしい。その闖入者のせいで、私は、自殺を思いとどまる事となった。男は私に駆け寄って来て、そして、私に抱きついて来た。止めようと必死だったらしい。力み過ぎて、2,3発屁をたれやがった。私も屁をたれた。なんだか馬鹿らしくなった…と言うのが本当のところだ。屁の突っ張りは、本当にいらないらしい。



 翌日、私は、その男にバーに呼び出された。何か話したい事があるらしい。男の正体に関して不気味だと思わない訳ではないが、一度は死のうとした身、怖いモノなんてない。槍でも鉄砲でも、バーでも持ってきやがれ!って所だろうか。なんちゃって。


「やぁ、早かったね。何を飲む?」

「そうだな。何にしようかな。」

「君の事を調べさせて貰ったけど、大学の卒業旅行イギリスに行ったらしいじゃないか。」

イギリスか…。懐かしいな。じゃあ、ジンでも飲もうかな。イギリス人(ジン)、なんちゃって。」

「ん?何か言ったかな。」

「…いいや。ジントニック。」

「この間は乱暴な自己紹介になってしまったが、私は臓器売買の仕事をしているんだ。」


 男は、男が属している臓器売買組織に関して説明してくれた。『売買』と言っているが、当然、『密売』だ。なんでも、死んだ人間から移植出来る臓器というのは、かなり限られるらしい。そして、全世界的にみて、臓器移植を待っている人は沢山で、とうてい正規の手続きを経て集まる臓器では数が足らないらしい。そのため男達は、独自の捜査網を用いて、自殺しようとしている人間を探し出し、使える臓器を集めてくる…という事らしい。なんとも荒唐無稽な話だが、事実、自殺しようとしいた私の所に、この男が現れたのは事実だ。


「…まぁ、こんな感じで、君の身体を必要としている人は沢山いる。すね毛一本残らず、全部移植するよ。」

「全部って事は、脳も?」

「いや、脳は移植出来ないな。」

「答えは、ノーって訳か。」

「なんだ?もう酔ったのか?」

「…いや。」

「脳の移植だけは、実例がないし、そもそも脳を移植したとして、それは、どちらのための移植かよく分からないだろう。提供者の意識が存続するのか?そうじゃないのか?」

「そうか。まぁ、そうか。」

「提供するしないは君の自由だ。考えがまとまったら、また、電話でもくれ。じゃあまた。」


 男は、そう言い残し、去って行った。どうしたものか。全ての臓器を抜かれて、死ぬか。それとも、もう1度生きるか…。


「お客さん。ナッツはお嫌いですか?」

「へ?」


 急に、サングラスをしたマスターが声をかけてきたからビックリした。なんでこんなに暗い店内で、サングラスをしているのだろうか。


「ああ、ナッツは、苦手でね。奥歯の虫歯に挟まった事があって…。」

「なんと勿体ない。できたら前もって言ってくれれば良かったのになぁ。こんなちっぽけなナッツでも、作っている人がいるんですよ。作っているというのは、生産から始まって、製造・加工全ての行程です。このナッツにも色んな人の思いが詰まっているし、食べたら、栄養になるんです。こんなちっぽけなナッツだとお思いになるかも知れない。だけど、人間が生きているってのは、これ、食べ物の力なんですよ。このナッツも他の食べ物と力をあわせて、人間を、人類を生かしているんです。そもそも、ナッツを栽培した農家の人々も、ご飯を食べていて、勿論、その人々にも、両親がいる訳なんですよ。つまりですね、あーこんがらがっちゃったな、つまり、なんというか、宇宙は一つなんですよ。」

「あー、ごめんごめん。食べる食べる。」


 そう言い、オレはナッツを噛んだ。そうしたら、奥歯の虫歯に挟まって、歯が痛かった。生きている事は素晴らしい。なんというか、命の大切さってのが、少し分かったかも知れない。ありがとうマスター。


「今度、奇妙な世界に迷い込むのは…貴方かも知れません。」

ゲスト



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